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​超自然現象対策課

登場人物:4人 (不問:4)

・藤納戸文睦 :不問

・烏羽舞    :不問

・浅葱瑠衣  :不問

・灰桜     :不問

藤納戸(俺は昔から普通の人間だった。普通の家庭に生まれ、普通の成績で普通の学校を卒業して、それで普通に公務員をやる、そんな人生。)
藤納戸「だったはずなのに!」
烏羽 「どしたー?藤納戸。」
藤納戸「どうして俺はっ!こんなところで幽霊と殴り合いしてんすか!」

 


藤納戸(2階…ここが俺の勤務先か。市役所勤務初日、気を引き締めていこう。)

SE:ドアノックの音
SE:ドアを開く音

藤納戸「今日からお世話になります、藤納戸です。よろしくお願いします!」

SE:次第にざわざわしてくる

藤納戸(あ、あれ?なんか思ってたのと反応違う…?)
課長 「君は?」
藤納戸「はい、今日からこの部署に配属される…はずの藤納戸です。」
課長 「藤納戸…?あーはいはい藤納戸君ね。」
藤納戸「そうです、今日から」
課長 「君の部署はここじゃないよ。」
藤納戸「え?」
課長 「2階じゃなくて地下2階だね。」
藤納戸「ち、地下?」
課長 「そう、エレベーターは通ってないから北側の階段を使って行ってね。」
藤納戸「わ、わかりました!お騒がせしてすみませんでした!」

SE:ドアを閉める音

藤納戸「はっずぅ…初日から部署間違えるなんて……それにしても地下に部署なんてあったっけ?」
藤納戸(北の階段…はあっちか)

SE:階段を降りる音

藤納戸(なんか、薄暗くて嫌な感じ。こういうところにはあんまり近づきたくないんだけど。)
藤納戸「仕事だから…行かないとだよな。」

SE:ノックの音

藤納戸「失礼します、今日からお世話になります、藤納戸、です?」
烏羽 「まだ始業時間前なんすけど?」
藤納戸(めっちゃヤンキーみたいな人がいるぅ!)
藤納戸「いや、俺は」
烏羽 「窓口は8時半からなんでぇ、またのお越しをお待ちしておりまーす。」
藤納戸「ちょっ!違いますって。」
烏羽 「あん?」
灰桜 「烏羽、そいつは市民じゃない。」
烏羽 「は?どういうこと。」
藤納戸「そうです、俺は今日からこの課に配属になった藤納戸です。」
烏羽 「いや…は?マジで言ってんの灰桜サン。」
灰桜 「マジだ。」
藤納戸「あの?」
烏羽 「アンタさぁ、ココがどういうトコか知ってんの?」
藤納戸「いえ、今日が初出勤なので。」
烏羽 「ココは超自然現象対策課。」
藤納戸「ちょう、しぜん?なんですか、そんなの聞いたことないですよ。」
灰桜 「超自然現象、幽霊や都市伝説、UFO、UMA等をそう呼ぶ。」
藤納戸「は?」
灰桜 「ここはそういった類の相談窓口だ。」
藤納戸「…マジ…っすか?」
烏羽 「大マジ。」

 


灰桜 「さて、自己紹介が遅れたね。私はこの課で課長をやっている灰桜だ。」
藤納戸「灰桜、課長。」
灰桜 「それでそっちにいるのが主任の烏羽。」
藤納戸「主任…。」
烏羽 「似合わねぇって思ったか?」
藤納戸「いえ、そんなことは。」
灰桜 「そして君、藤納戸君、以上三人が超自然現象対策課だ。」
藤納戸「え?三人しかいないんですか?」
灰桜 「ああ。」
藤納戸「俺が来るまでは二人でやってたってことですか?」
灰桜 「この課に勤めるには必須のスキルがあってね、それをクリアできる人材はごく少数なんだ。」
藤納戸「それはどのような?」
灰桜 「さっきちょっと触れたんだがね、ここは超自然現象、いわゆるオカルトを扱う部署だ。」
藤納戸「はぁ。」
灰桜 「業務をこなすうえで最も必要なスキル、それはね…見えることだよ。」
藤納戸「……」
灰桜 「君、見えるんだろ?」
藤納戸「どうして、それを。」
灰桜 「採用試験の中にね、見える人しかわからない仕掛けがあったのさ。君は不幸にもその仕掛けに引っ掛かり、見事我が課の所属となったわけだ。」
藤納戸「なんというか、ずるくありません?」
灰桜 「我々としても心苦しいのだがね、如何せん見える人材は限られていてね、その中でも公務員志望となれば本当に希少なんだ。」
藤納戸「あの、俺見えるだけで何かできるわけじゃないんですが。」
灰桜 「ああ、それは大丈夫。ウチの課は別にお祓いとか除霊とかするわけじゃないから。」
藤納戸「それじゃあどういうことを?」
灰桜 「市民の皆様からそういった類のお悩みを受けて、専門の人に繋ぐのが基本業務だ。」
藤納戸「専門の人。」
灰桜 「表には出てないがな、この国にはいるんだよ、そういうのの専門家が。」
藤納戸「全然知りませんでした。」
灰桜 「まぁ追々知っていけばいい。とりあえずは烏羽に色々教えてもらえ。」
藤納戸「わかりました。」

 


烏羽 「話終わった?」
藤納戸「はい、よろしくお願いします、主任。」
烏羽 「烏羽でいいよ、かたっ苦しい。」
藤納戸「わかりました、烏羽さん。」
烏羽 「んで、さっそく基本的な事務からやってもらうわけだが…」
藤納戸「どうしました?」
烏羽 「先に窓口業務だな、アタシがやるから見て覚えて。」
藤納戸「窓口って、誰もいませんよ。」
烏羽 「すぐ来る。」
浅葱 「あの…すいません。超自然現象対策課というのはこちらで合ってますか?」
烏羽 「あってますよ。」
藤納戸(今足音とかしたっけ?なんで来客がわかったんだ烏羽さん。)
浅葱 「その…警察の方からここに行くように言われて…」
烏羽 「そちらの椅子にどうぞ。」
浅葱 「あ、ありがとうございます。」
藤納戸(それにしてもこの人、何やったんだ?)
烏羽 「本日ご担当します烏羽です、それで本日はどのようなご用件で?」
浅葱 「私は浅葱と申します……信じてもらえるかどうかわからないんですが、このままだと呪い殺されるかもしれなくて……」
烏羽 「呪い、ですか。」
藤納戸(コールタールみたいにドロッとしたのがこびりついてる。)
浅葱 「お恥ずかしい話なんですが、先日友人と肝試しに行きまして。」
烏羽 「ああ、それで。」
浅葱 「あの?」
烏羽 「あ、お気になさらず、続けてください。」
浅葱 「行った時は何もなかったんです。でも肝試しから一週間のうちに、一緒に行った友人たちが大きなケガをおったり病気になってしまいまして。」
烏羽 「次は自分の番だと?」
浅葱 「はい…怖くなって調べたら結構危ないって有名な心霊スポットらしくて。」
藤納戸(結構ってレベルか?これ。自分が触れられてるわけじゃないのに、肌がヒリヒリする。)
烏羽 「どこへ行ったんですか?今地図を出すんで教えてください。」
浅葱 「えーと……あっここです。ここの廃病院。」
烏羽 「うへぇ…っとなるほど、わかりました。」
浅葱 「え?」
烏羽 「近日中にお祓いをしましょう、専門家にこちらから打診しておきます。」
浅葱 「だ、大丈夫なんでしょうか?」
烏羽 「こちら、一応お守りです。これですぐ死ぬようなことはないと思いますよ。」
浅葱 「し、死ぬ?やっぱり私死ぬんですか?」
烏羽 「そうならないようにお祓いをするんですよ。」
浅葱 「なんで、なんで私が死ななきゃならないんですか?付き合いで行っただけで、」
烏羽 「落ち着いてください。」
浅葱 「すぐ何とかしてくださいよ?公務員なんですよね?私たちの税金でお給料もらってるんだから」
烏羽 「るっせぇな?」
浅葱 「え?」
烏羽 「テメェで責任も取れねぇクセにお遊びで危ねぇトコいってぎゃーぎゃー騒いでんじゃねぇよ。」
藤納戸「ちょっ、烏羽さん。」
浅葱 「あ、え?」
烏羽 「こっちはテメェのケツ拭いてやるっつってんだからよぉ?大人しく待っとけや。」
浅葱 「は、はい……」

 


灰桜 「とりあえず顛末書ね。」
烏羽 「えー。」
藤納戸「えーじゃないですよえーじゃ。」
烏羽 「だってアイツむかついたんだもん。」
藤納戸「もんって…課長、烏羽さんいつもこんな感じなんですか?」
灰桜 「たまに。」
藤納戸「たまにって…」
灰桜 「まぁ言ってることは正論だから。」
藤納戸「正論ですか?」
灰桜 「藤納戸君も見えてたでしょ?あの呪い。」
藤納戸「あ、はい。」
灰桜 「あれマジでやばいから、下手すると死人が出るレベル。」
藤納戸「結構やばいなって思ってたんですけどそんなにですか?」
灰桜 「こうならないように情報規制とか頑張ってるんだけどねぇ、ガチなやつは表に出ないように。」
烏羽 「ああいう馬鹿が遊び感覚で行って問題にならないようにね。」
藤納戸「じゃあなんで今回は。」
灰桜 「そこが結構問題なんだよ、意図的に情報を流している奴がいる、もしくは」
烏羽 「呪い自体が自分の情報を広めてるか。」
灰桜 「今回はそっちっぽいな…まぁそれはそれとして藤納戸君。」
藤納戸「はい?」
灰桜 「かわいそうだが出勤一日目にして残業だ。」
藤納戸「え?」
灰桜 「今晩、烏羽君と現場、行ってきて。」
烏羽 「おい、なんでアタシが。」
藤納戸「専門家を紹介するんじゃないんですか?」
灰桜 「今、九州の方に猿夢出ちゃっててね、人員そっちに持ってかれてるんだよ。」
藤納戸「猿夢ってあの都市伝説の?」
烏羽 「都市伝説専門のガキは?」
灰桜 「真っ先に飛んで行ったよ。」
烏羽 「その辺の野良の払い師は?」
灰桜 「地方のお祭りの警備に出回ってて手すきの奴がいない。」
藤納戸(お祓いする人に野良とかあるのか。)
烏羽 「じゃあアイツは?佐伯の所のお坊ちゃん。」
灰桜 「二日前くらいにアフリカから生配信してたからそもそも日本にいない。」
烏羽 「マジか。」
灰桜 「マジだ。」
藤納戸「あのぉ、現場行ってどうするんですか?俺ド素人なんですけど。」
灰桜 「現場の封鎖と調査、後は道具持って行って簡易的に浄化して呪いの力弱らせてきてもらって。」
藤納戸「どれも経験ないんすけど。」
灰桜 「烏羽君が知ってるから問題ない。」
烏羽 「クッソめんどくせぇ…」
灰桜 「あれだけ啖呵きったんだから間に合いません死にましたじゃかっこつかないでしょ?よろしく。」

 


SE:廊下を歩く音

藤納戸「あの…」
烏羽 「なに?」
藤納戸「なぜわざわざ夜に?昼の業務時間内に来ればよかったのでは?」
烏羽 「アンタ、昼と夜だったらどっちがあいつらの事見やすい?」
藤納戸「断然夜ですけど。」
烏羽 「それが理由。アイツらは夜が本番、その時間に行かなきゃ正体も対策もできないってこと。」
藤納戸「でもそれってそれだけ危険もあるってことですよね?」
烏羽 「そりゃそうでしょうよ。」
藤納戸「烏羽さん、あの人に怒ってたじゃないですか、なんでそんな人の為に危険なことするのかなって。」
烏羽 「そりゃお仕事だからね。」
藤納戸「お仕事って言っても」
烏羽 「アイツにキレたのもお仕事、こうしてるのもお仕事、んで藤納戸の面倒みてんのもお仕事、全部一緒。」
藤納戸「意外と真面目な人なんですね。」
烏羽 「あ?意外とは余計だろ。」
藤納戸「すみません…ってあれ?」
烏羽 「どうした?」
藤納戸「このドロドロ。」
烏羽 「ドロドロだぁ?」
藤納戸「これ、浅葱さんについてたやつと一緒だ。」
烏羽 「お前何言って」
藤納戸「あれ、見てください。」
烏羽 「あん?」
藤納戸「浅葱さん?どうしてここに…」
烏羽 「あれは……引っ張られてる。」
藤納戸「引っ張られてるってなんですか?」
烏羽 「呪いが強すぎて引っ張られちまってんだよ、ここに。」
藤納戸「なんの意味があってそんなことを。」
烏羽 「ここで殺しちまえばそれだけここの力が強まる、大方そうやって濃くなってきたんだろうよ、ここの呪いは。」
藤納戸「そんな生き物みたいなことするんですか、呪いって。」
烏羽 「するさ、呪いなんて生き物からしか生まれねぇんだからな。」
藤納戸「それにしてもあのドロドロで引っ張ってたなんて。」
烏羽 「藤納戸、さっきから言ってるドロドロってなんだ?」
藤納戸「え?皆さん見える人ですよね?あの浅葱さんにまとわりついてたコールタールみたいな奴のことですよ。」
烏羽 「そういうことは早めに報告しろ馬鹿。お前、アタシより見えてんのかよ。」
藤納戸「え?」
烏羽 「下手したら灰桜さん以上か…使えるな。」
藤納戸「使えるってなんですか烏羽さん、ねぇ、その不敵な笑いはなんなんすか!」
烏羽 「アタシにいい考えがある。」 

 


烏羽 「そこまでだ、廃病院の呪いさん。」
浅葱 「あ……う…ぁ」
烏羽 「市民様をお守りするのも業務の内なんでねぇ、勝手に持ってかれちゃうと困るんだよ。」
浅葱 「たす…け…」
烏羽 「約束通り払ってやっから、待ってな。」
浅葱 「ジャマ、ヲスル、ナ。」
烏羽 「アタシには黒い靄にしか見えねぇケドよ。」
浅葱 「ジャマヲスルナァ!」
烏羽 「こっちにはハッキリ見えてる奴いるがいるんだよ!馬ぁ鹿!」
藤納戸「うわぁぁぁぁぁぁ!」

SE:殴る音

 


烏羽 (お前、呪いを殴って払え。)
藤納戸(何言ってんすか、無理に決まってるでしょ!)
烏羽 (お前くらいハッキリ見えてるなら行けるハズだ。)
藤納戸(ハズってなんすかハズって!)
烏羽 (いいから、聞け。アタシがアイツに名前を付ける。)
藤納戸(名前?)
烏羽 (名前が決まればより輪郭がはっきりする、呪いってのはそんなもんだ。)
藤納戸(それで?)
烏羽 (ハッキリ見えたらお前が思いっきり殴り飛ばせ。)
藤納戸(無茶苦茶言ってるよこの人!)
烏羽 (心配するな、ほらこれ。)
藤納戸(何すか、このお札まみれのバット。)
烏羽 (霊験あらたかなバットだ、護身具として持ってきた。)
藤納戸(霊験あらたかなバットってなんだよ!)
烏羽 (悪霊にはバット、最近はメジャーな武器だ。)
藤納戸(無理無理無理!)
烏羽 (いいか藤納戸、市民の皆様の為に働くのがアタシたちだ、そうだろう?)
藤納戸(これあきらかに業務外でしょ!)
烏羽 (いいからとっとと覚悟決めろ、行くぞ。)
藤納戸(無理つってんだろぉ!)

 


烏羽 「やりゃーできるじゃん?」
藤納戸「なんで殴れてんだよ俺ぇ!」
浅葱 「ナゼキサマハフレラレル?」
藤納戸「俺も全然わかんねぇけど、後ろにいる本体まる見えなんだよお前。」
烏羽 「やっぱそっちが本体か!こっちは抑えてるからとっとと殴り倒せ!」
藤納戸(俺は昔から普通の人間だった。普通の家庭に生まれ、普通の成績で普通の学校を卒業して、それで普通に公務員をやる、そんな人生。)
藤納戸「だったはずなのに!」
烏羽 「どしたー?藤納戸。」
藤納戸「どうして俺はっ!こんなところで幽霊と殴り合いしてんすか!」

SE:殴る音

烏羽 「見えちまったもんはしょうがねぇだろ!なぁ!見過ごすなんてできねぇよなぁ!」
藤納戸「そりゃそうですけどねっ!」

SE:殴る音

浅葱「ヤメロ!キサマ!」
藤納戸「見たくて見てるんじゃないんすよ!こっちも!」

SE:殴る音

烏羽 「はははっ!じゃあ見えなくなるまで殴らねぇとな!」
藤納戸「もう二度と御免ですよ!俺は!」

SE:殴る音

浅葱 「ア、アァァァァァァ!」

SE:浄化される音

烏羽 「やったか?」
藤納戸「やりましたよ!」

 


灰桜 「昨日はお疲れ様。」
藤納戸「おはようございます、課長。」
灰桜 「烏羽君の報告書は読んだよ、大活躍だったね藤納戸君。」
藤納戸「…いえ、全然そんなことはないですよ、ところで」
灰桜 「無理だね。」
藤納戸「まだ何も言ってませんが。」
灰桜 「君は他の課には行けないよ。」
藤納戸「なんでですか?俺あんなの二度と御免なんですけど。」
灰桜 「非常に言いづらいんだがね?」
藤納戸「はい?」
灰桜 「君、普通に公務員試験落ちてるから。」
藤納戸「は?」
灰桜 「君のその技能があったから特例でウチがとった。だから他の課には行けないんだよね。」
藤納戸「はぁぁぁぁぁぁ?」
烏羽 「朝っぱらからうるせぇぞ藤納戸ぉ!」
 

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