モノクロームバレッド
登場人物:4人 (男:2人 女:2人 不問:9)
・ハヤト :男性
・ショウ :男性
・ユエ :女性
・コトハ :女性
ハヤト「なぁ?なんか食い物もってね?」
ショウ「ねぇよ。」
ハヤト「おい、相方が腹減って死にそうなんだぞ?」
ショウ「知らねぇよ。この前の依頼料があるだろ?飯くらい買って来いよ。」
ハヤト「…家賃で消えた……」
ショウ「はぁ?お前また家賃滞納してたのかよ。」
ハヤト「家賃は滞納するものだろ?」
ショウ「いい顔で言うなクズ。」
コトハ「まったくだわ。」
ハヤト「げぇ!コトハ。」
コトハ「ハローユエ、ショウ。それとクズ。」
ハヤト「だってよクズ。」
ショウ「呼ばれなかったのはお前だけだから確実にお前のことだろうが!」
ハヤト「おれぇ?」
ユエ 「やっほ、コトハ。」
コトハ「ユエは今日もかわいいわねぇ!この馬鹿どもに変なことされてない?」
ショウ「おい、今まさか俺をこの馬鹿と同じカテゴリーにいれなかったか?」
ハヤト「やーい!俺と同じレベルー!」
SE:殴りあう音
コトハ「馬鹿どもは放って置いて、はい差し入れ。」
ユエ 「いつもありがと。」
コトハ「ユエは放って置くと何にも食べないで餓死しちゃいそうだからねぇ。こいつらが気を遣えるとも思えないし。」
ハヤト「おい、気遣いの鬼と呼ばれた俺に向かってなんて暴言を吐きやがるこのアマ。」
コトハ「差し入れ、一応アンタの分もあるけど?」
ハヤト「このゴミくずめにお情けをいただきありがとうございます。」
ショウ「引くわー。大の大人が土下座して飯もらってる姿は流石に引くわー。」
ハヤト「プライドじゃ腹は膨れねぇんだよ。」
ユエ 「写メしとこ。」
SE:写真を撮る音
ハヤト「うめ…うめ…」
ショウ「一心不乱におにぎり食ってる姿ってなんか哀れだよな。」
ハヤト「うるへー!こっちは三日ぶりの固形物なんだよ!」
ユエ 「もうちょっと人間性上げてこ?」
ハヤト「獣かなんかだと思ってらっしゃる?」
ユエ 「虫。」
ハヤト「虫。」
ショウ「おもろ。」
ハヤト「飯食って力を取り戻した俺を馬鹿にするとは命知らずなやつらだな?そこになおれ。」
コトハ「食べたわね?」
ハヤト「は?」
ショウ「あ。」
ユエ 「あ。」
コトハ「おにぎり、食べたわね?」
ハヤト「……はい……」
コトハ「ちょぉーっと聞いてもらいたいお願いがあるんだけど?」
ショウ「俺ちょっと用事が…っておい服を放せ。」
ユエ 「スカート掴むな、セクハラ。」
ハヤト「俺らチームだろ?」
ショウ「今朝までは。」
ユエ 「寝る前までは。」
ハヤト「薄情者!」
コトハ「ユエも食べたわよね?」
ユエ 「……はい。」
ショウ「じゃあそういうことで。」
コトハ「待ちなさい保護者。」
ショウ「年上のクズ男の保護者になった覚えはないんだが?」
コトハ「そっちはどうでもいいけど、ねぇ?ユエ。」
ユエ 「うるうるうる。」
ショウ「う……ぐっ…」
SE:ソファーに座る音
ハヤト(ちょっろ。)
ユエ (ハヤトに教えてもらった作戦、ばっちり。)
コトハ(ちょろすぎてショウの未来が心配になるわ。)
ショウ「で?なんだよお願いって。」
ハヤト「おお、やる気じゃん?」
ショウ「お前に任せてたら一生話が進まん。」
コトハ「実は近所のおばあちゃんに相談を受けたんだけど。」
ハヤト「犬の散歩代行か。よし、行ってこいショウ。」
ショウ「なんで俺が行くんだよ、飯食ったのはお前だろうが。」
コトハ「話を聞けボケども、家賃上げるぞ。」
ハヤト「スミマセン。」
ショウ「なんで俺まで……」
ユエ 「それで?」
コトハ「そのおばあちゃん詐欺にあったらしくてね?旦那さんの形見取られちゃったって。」
ショウ「警察は?」
コトハ「証拠がなくて動いてくれないらしいわ。」
ハヤト「買い戻しとかできないん?」
コトハ「あいてがだーいぶタチ悪いやつっぽくてねぇ。」
ユエ 「え、じゃあどうするの?」
コトハ「そこで、暇そうにしてるアンタたちの出番ってわけ。」
ハヤト「ちょっと待てーい。」
ショウ「え?冗談だろ?」
ユエ 「え?え?」
コトハ「ちょっとそいつらの家カチこんで、形見の品かっぱらってきて。」
ハヤト「この女笑顔でとんでもないこと言い出したぞ?」
ショウ「普通に犯罪だろそれ。」
コトハ「相手も悪いことしてんだからお相子よお相子。」
ショウ「捕まるのは俺らなんだが?」
コトハ「え?自信ないんだ。その辺のチンピラボコすだけなのに?」
ショウ「は?チンピラとか相手にならんが?」
ハヤト「乗るな!ショウ!」
コトハ「家賃三か月分免除。」
ハヤト「やってやりましょうぜ!ショウさん!」
ユエ 「嘘でしょ?マジ?」
コトハ「だいじょーぶだって。こいつら、頭はアレだけど強いから。」
ユエ 『データベース侵入。屋敷の監視カメラハッキング完了。』
コトハ『さっすがユエ。』
ハヤト「なんか想像以上にでかい屋敷なんだが?」
コトハ『そりゃこの辺を仕切ってる須藤組の組長宅だからねぇ。』
ショウ「おい、聞いてないぞ?下手したら重火器出てくるやつだろこれ。」
コトハ『行ける行ける。』
ハヤト「よし行けショウ。骨は拾ってやる。」
ショウ「お前が行けよ!」
ユエ 『今音拾ってるから静かにして。』
ハヤト・ショウ「「はい。」」
ユエ 『ん……見つけた。目標のブツ、場所送るね。』
ハヤト「おっけ…良し。」
ショウ「で?どうする?」
ユエ 『こっちで侵入できそうなところ探そうか?』
ハヤト「まぁこういう時はお約束ってことで。」
ショウ「お、おい。」
ハヤト「お邪魔しまーす!」
SE:扉を蹴破る音
ショウ「何をやっとるかぁ!!!!」
ユエ 『私何の為にハッキングしたの?』
コトハ『あははははははは!やっぱアンタ最高だわ!!!』
ハヤト「ほいほいほい。」
SE:銃声三回
ハヤト「ほら、びびってんなよ。テンポよく行くぞー。」
ショウ「こっちは獲物が近接なんだよ。」
ハヤト「負け惜しみおつー。」
ショウ「は?お前下がっとけよ。」
SE:斬撃
ショウ「はい、キル数で俺の勝ち。」
ハヤト「殺すな。」
ユエ 『殺すな。』
コトハ『馬鹿だ!馬鹿がいる!!!!』
ショウ「こ、言葉の綾だろうが。死んでねーよ、多分。」
ハヤト「こわ~。」
ショウ「うるさい、とっとと行くぞ。」
ハヤト「へぇへぇ。」
コトハ「いやぁこいつら見てると飽きないわ、お腹いた。」
ユエ 「もしかしてこうなるってわかっててけしかけた?」
コトハ「九割九分くらい?」
ユエ 「うわぁ。」
コトハ「だいじょーぶだって。あいつら強いの知ってるでしょ?」
ユエ 「まぁ…はい。」
コトハ「ね…うわ、今の見た?弾よけてる。馬鹿だぁ!」
ユエ 「引く。」
コトハ「ねー、ヤバ。」
ユエ 「今三メートルくらい飛んだ?」
コトハ「人間技じゃないわねぇ…今後ろ見ずに撃たなかった?」
ユエ 「えぇ…」
コトハ「さて、そろそろブツも手に入りそうだし、逃走経路の方ヨロ!」
ユエ 「りょーかい。」
ハヤト「よっしゃぁ!目標げーっと!」
ショウ「ユエ、逃走経路は?」
ユエ 『今送る。』
ハヤト「仕事が早いって素敵。それじゃあとっとと帰りますか。」
ショウ「おい、そっちは…って首根っこ掴むな!」
ハヤト「ショートカットショートカット!」
ショウ「冗談だろ?ここは三階だぞ?おい、おい!」
ハヤト「イーヤッホーゥ!」
SE:ガラスの割れる音
ショウ「ふざけんな死ねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ハヤト「と、いうわけで、おばあちゃんの形見奪還作戦、池に沈む白上ショウ編でした!」
ショウ「勝手に劇場版にするな。」
ユエ 「どぶ臭い。」
コトハ「まぁまぁまぁ、今日は私の奢りってことでじゃんじゃんいきましょう!」
ハヤト「飯だ!タダの飯だ!タダってだけで五倍くらいうめぇ!」
ショウ「おい生で食うなちゃんと焼け。」
ユエ 「ナムルうま。」
コトハ「いやぁ助かったわ、おばあちゃんも喜んでたし。」
ハヤト「おい、コトハ。約束忘れてないだろうな?」
コトハ「家賃三か月分免除でしょ?覚えてる覚えてる。」
ショウ「これでしばらくは食うもの困らなそうだな。」
コトハ「え?」
ショウ「え?」
ユエ 「え?」
ハヤト「ん?モグモグ。」
ショウ「ちょっと待て、確認したいんだが……」
ユエ 「嫌な予感。」
ショウ「家賃滞納してた分は払ったんだよな?」
ハヤト「おう。モグモグ。」
ショウ「今日三か月分免除になったんだよな?」
コトハ「そうね。」
ショウ「三か月は家賃払わなくていいってこと…だよな?」
ハヤト「おいおい相棒。いつ、俺が滞納してた家賃全部払ったって言ったよ?」
ショウ「は?」
コトハ「十二か月分滞納してたうちの二か月分ね、払ったの。」
ユエ 「つまり。」
ショウ「つまり?」
ハヤト「後七か月分は滞納してるってことだよ!!!あはははは!!!」
ショウ「ふざけんじゃねぇ!馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
SE:殴りあう音