ずれたハロウィン
登場人物:5人(男:2人 女:2人)
・パンプキンヘッド(表記:南瓜) …男
・シー …女
・ポー …女
・サイオン …男
南瓜「そろそろ出発の時間です。」
シー「はい。」
ポー「はーい!」
南瓜「今日お邪魔するお屋敷は…アサセル通り4丁目のサイオンさんのお屋敷になります。」
ポー「どういう人なの?」
南瓜「常日頃からお金儲けのことばかり考えてる人ですね。」
シー「金の亡者…」
南瓜「あと、人のことを騙したり。」
ポー「嘘吐きだー!」
南瓜「いじめたり」
シー「最低…」
南瓜「悪いことやったり。」
ポー「正直予想通りだ!」
南瓜「そうやってお金を集めて楽しそうに暮らしているおじさんですね。」
シー「クズ。」
南瓜「もうちょっとこう…ビブラートに包んで…」
ポー「オブラートとビブラートを掛けたギャグだ!」
南瓜「良くお気付きになりましたね、流石です。」
シー「馬鹿が二人いる…しんど…」
南瓜「さあ、そろそろ出発しないと。我々が活動できるのは今日だけなんですから。」
ポー「了解!いくぞー!」
シー「おー。」
SE:ノックの音
ポー「トリックオアトリート!」
シー「トリックオアトリート」
SE:扉の開く音
サイ「うちではそういうのやってないから。ほら帰った帰った。」
南瓜「というわけで、お邪魔します。」
サイ「え?なんで?なんで勝手に家に入ってくるの!?」
南瓜「ドアを開けて頂いたので。入って良いものと判断しました。」
サイ「何言ってるの?後君誰?めっちゃ雰囲気暗いけど。」
南瓜「私は……」
シー「パンプキンヘッド。」
南瓜「そう、私はパンプキンヘッドです。」
サイ「いや誰?なんなの?」
南瓜「私達はあなたの……」
ポー「ぼうじゃくぶじんー!」
南瓜「傍若無人さに嫌気が指した人々の声が呼び寄せた…呼び寄せた?」
サイ「呼び寄せたの?そうじゃないの?」
南瓜「多分呼び寄せた悪夢…、です。」
サイ「ねぇ!この人大丈夫?」
ポー「ダイジョブだよ!タブン!」
シー「めいびー。」
サイ「というか気づけば全員勝手に入りこんでるんだけど?なんなんだ!お前たち!」
南瓜「先程から申し上げていますが、悪夢です。」
サイ「説明になってないんだよなぁ!」
ポー「細かいこと気にするオジサンだー!」
サイ「おじっ…こう見えても私はまだ20代だ!」
シー「でもさっきパンプキンヘッドがおじさんって言ってた。」
サイ「言ってたの!?」
南瓜「残念ながら…」
サイ「残念なのはこっちだよ!」
南瓜「さて、それでは…」
サイ「ちょっ!なにやってるの!?」
南瓜「?」
サイ「その顔するのはこっちなんだよなぁ!」
南瓜「先程この二人から問いかけがあったと思うのですが、もしかしてサイオン様、難聴であらせられる?」
サイ「しっかり聞こえとるわ!お前が私を馬鹿にしてるのがな!」
南瓜「どうやらきちんと聞こえて無かったようなので、ほら。あなたたち。」
ポー「トリックオアトリート!」
シー「トリックオアトリート」
南瓜「と、いうわけですので。」
サイ「なにが?どういうわけなの?」
南瓜「こちらからあなた様に対していたずらとお菓子、どちらが良い?と問いかけましたが、お菓子を頂けなかったようなのでいたずらをしようかと。」
サイ「だからってウチで一番高い壺を割ろうとするな!いたずらの範疇を越えてるだろ!」
南瓜「いたずらかどうかの判断はこちらで致しますので。ポー、どこまでがいたずらです?」
ポー「半殺し!」
サイ「笑顔でめっちゃ怖いんだけど!」
南瓜「シー、あなたは?」
シー「FXで有り金全部溶かす。」
サイ「死ぬわ!間接的に死ぬわそんなん!」
南瓜「ね?これに比べればこれ位かわいいいたずらですよ。」
サイ「ね?じゃないんだよなぁ!そもそもこっちはハロウィンの行事やってないって言っただろう?」
南瓜「しかしですね、サイオン様。我々にとって玄関に灯りを灯すということは、ハロウィンやってるよ、という合図なのですよ。つまりレッツハロウィン。」
サイ「レッツハロウィン。じゃないんだよ!せめてもうちょっとテンション上げていけよ!」
南瓜「そういうのはポーの担当なので。」
ポー「レッツハロウィン!!!!」
サイ「近所迷惑になるからやめて!」
南瓜「ご近所様から嫌われているあなたがご近所迷惑を語るのは滑稽ですね。」
サイ「うるせーよ!しれっと嫌われてるとか言うんじゃないよ!」
南瓜「事実ですので。」
サイ「もういい!黙れ!出ていけ!警察を呼ぶぞ!」
南瓜「お菓子もいただけない上にいたずらをしてもいけないと?」
サイ「そうだ!わかったらとっとと帰れ!」
南瓜「そうですか、では…」
SE:剣閃
サイ「は?」
ポー「残念!」
シー「さようなら。」
南瓜「ハロウィンのルールを守らないのであれば仕様がありません。ルール違反には罰則を。死をもって償っていただきます。」
サイ「なん…で…」
南瓜「言ったでしょう?人々の声が私達を呼び寄せたと。」
ポー「そうされるくらいには人に嫌われてたってことだよー!おじさん!」
シー「因果応報。」
南瓜「さて、それでは次のお屋敷へ参りましょうか。」
ポー「次はどんなおうちー?」
シー「次は?」
南瓜「画面の前でこちらを見ているあの方のお屋敷へ参りましょうか?」