君の横顔を見ていた
登場人物:3人(男:2人 女:1人 不問:0人)
・順平 /ナレ2 …男性
・高志 /ナレ3 …男性
・小夜子/ナレ1 …女性
ナレ1「私は恋をしています」
順平 「なにやってんだよ小夜子。こんなところで」
小夜子「あっ順ちゃん。おはよう」
順平 「おはようさん。で?」
小夜子「えっと、あの…あはは…」
順平 「はぁ…まぁた高志のやつ待ってるのか、こんなところで」
小夜子「うん…ここで待ってれば会えるかなって」
順平 「家まで迎えに行けばいいじゃん。俺ら幼馴染なんだし」
小夜子「この歳になって行くのもね…それにほら、ファンの子とかも怖いし」
順平 「あー高志ファンクラブねぇ。そりゃ顔もいいし爽やかだしサッカー部のエースだしでモテるのはわかるけ ど」
小夜子「高校に入ってからの高志君、すごく頑張ってるもんね」
順平 「そんなんお前もじゃん」
小夜子「え…?」
順平 「高校入ってから勉強めっちゃ頑張って学年トップクラスじゃん。勉強苦手な高志に教えてやるためだろ?」
小夜子「バレてたんだ…凄いね順ちゃん」
順平 「そりゃあ一応俺もお前らの幼馴染だからな。後あれだ」
小夜子「?」
順平 「化粧とかおしゃれとかもめっちゃ頑張ってるじゃん?」
小夜子「!?」
順平 「照れるなって。言っただろ?一応幼馴染だから。そんぐらい気づくって」
小夜子「そういう…ものなの?」
順平 「まぁもう一人の鈍感幼馴染には全然伝わってないんだけどな」
小夜子「……」
順平 「おい!マジで落ち込んだ顔するのやめろって」
小夜子「だってぇ…」
順平 「しゃーねぇ。いつもみたいに俺が援護してやっから、頑張れ」
小夜子「いつもありがとうねぇ順ちゃん」
順平 「いーってことよ!幼馴染の初恋だ。盛大に応援してやるぜ」
ナレ2「でもその恋が叶わないことを知っています」
順平 「よっ高志!昼飯一緒に食おうぜ?」
高志 「順平!いいぜ、どこで食べる?食堂?」
順平 「屋上で食おうぜ。もう食いもんも買ってあるし」
高志 「準備がいいな?そんなに俺と一緒に飯食べたかったのか?」
順平 「そんなんじゃねぇよ。ま、高志ファンクラブの面々には悪いけど昼の高志は貸し切りだ」
高志 「ファンクラブって…そんなんじゃないって言ってるだろ?」
順平 「まぁまぁ、細かいことは置いといて、さっさと屋上行こうぜ?」
高志 「おっけー」
ナレ3「でもその恋をいつまでも捨てきれなくて、ずっと抱えたままです」
順平 「お待たせしましたお姫様ってな」
高志 「なんだ、小夜子もいたのか」
小夜子「ご、ごめんね?私お邪魔だった?」
高志 「違う違う。順平が何にも言わないからさ。二人で食べるもんだと思ってたんだよ」
順平 「へーへー俺が悪うございました。別にいいだろ?俺ら三人昔っから一緒なんだから」
高志 「悪いとは言ってないだろ?小夜子もあんまり気にすんなって」
小夜子「う、うん。大丈夫だよ。それで、あの、これ…」
高志 「なにこれ?」
順平 「察しが悪いなぁ。手作り弁当ってやつだろ?」
高志 「いや、それはわかるんだけど、どうして俺に?」
順平 「はぁ…お前マジそーいうところだぞ」
高志 「???」
小夜子「あのね?お弁当一杯作ってきたから昔みたいに三人で食べたいなって」
高志 「ああ、なるほどね?それじゃあありがたく頂きますか」
順平 「やっべ!忘れてた。俺生活指導の篠山に呼び出されてたんだわ」
高志 「えっ?」
順平 「わりーわりー。申し訳ねぇがそいつは二人で食ってくれ。んじゃ!」
高志 「ちょっ!順平!……はぁ…しょうがない、二人で食うか」
小夜子「ご、ごめんね?私と二人になっちゃって」
高志 「全然。うるせーやついなくなって静かで丁度いいさ」
小夜子「そんなこと言ったら順平君かわいそうだよ」
高志 「いーっていーって。昔はそんなんでもなかったのに、高校入ったぐらいから急にうるさくなったような気がするんだよなぁ」
ナレ1「あなたの好きな人が私ではないことはわかっています」
順平 「よっ、高志。昼飯うまかったか?」
高志 「順、ああいうのやめろよ」
順平 「ああいうの?」
高志 「わかるだろ?お前なら?」
順平 「小夜子の事、嫌いか?」
高志 「別に…ただ、お前、卑怯なことすんのやめろ」
順平 「卑怯ってなんだよ」
高志 「それを俺の口から言わせるのか?それこそふざけるなよ」
順平 「高志…俺は…」
高志 「もういいよ…ただもう今後こういうことはやめてくれ」
ナレ2「それでも思うだけは、どうか許してください」
小夜子「あっ順ちゃん」
順平 「っ…小夜子か」
小夜子「どうしたの?何かあった?」
順平 「なんでもねーよ!いつもどーりいつもどーり」
小夜子「そう…?それならいいんだけど」
順平 「それより小夜子は?また高志の奴まってるのか?」
小夜子「うん。サッカー部の練習も終わったみたいだしもうそろそろ来るかなって」
順平 「そっか。俺は今日ちっとばかし早く帰らないといけないから先に行くな?」
小夜子「うんっ。バイバイ、順ちゃん」
順平 「じゃーな小夜子」
ナレ3「いつか終わりが来る時まで、あなたと一緒に居ることを許してください」