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ハロウィン体験

登場人物:5人(男:2人 女:2人  不問:1人)

・ぬらりひょん …男性

・口裂け女   …女性

・小豆洗い   …男性

・若い女    …女性

・少年     …不問

BGM:おどろおどろしいBGM


ぬらり 「それじゃあ定例会を始めるかの。」
口裂け女「はい。」
小豆洗い「はい。」
ぬらり 「これだけか?他の妖たちはどうした?」
口裂け女「ハロウィンの準備が忙しいとかで皆来ませんでした。」
小豆洗い「まぁオイラはハロウィンとか関係ないしね。」
ぬらり 「たるんどる!!」
小豆洗い「わ!急に大きい声出さないでよ、びっくりしたぁ。」
ぬらり 「たるんどるわ!最近の若い妖どもは!」
口裂け女「若いって言っても都市伝説は大体昭和生まれよ?」
小豆洗い「オイラ達妖怪は江戸時代からいるしなぁ。」
ぬらり 「言葉の綾じゃ!聞き流せ!」
口裂け女「そんな怒ると血圧あがりますよ。」
ぬらり 「じじい扱いするな!」
小豆洗い「若いって言ったり年寄り扱いするなって言ったりめんどくさいなぁ。」
ぬらり 「うるさいわい!そんなことはどうでもええんじゃ!」
口裂け女「じゃあなんなんですか。」
ぬらり 「ワシは哀しんどるのよ。」
小豆洗い「情緒不安定だねぇ。」
ぬらり 「あれだけ人間を恐れさせた妖どもが今や西洋の文化に現をぬかしおってからに…嘆
     かわしい!」
口裂け女「でもあのハロウィンっていうお祭りに混ざれば堂々と外歩けるから、皆喜んでるの
     よね。」
ぬらり 「バカモンどもが!そもそも妖が堂々と外を歩けて喜ぶってなんじゃ!我らは闇に潜
     み歴史の影から人間どもに恐怖を与える存在だろう!」
小豆洗い「考え方が古いよー」
ぬらり 「古いじゃと?」
小豆洗い「ぬらじぃがそんな考え方押し付けるから皆こなくなったんじゃんかー」
ぬらり 「ワシが悪いと言うのか?」
口裂け女「別におじいちゃんの考え方を否定するわけじゃないけどね?そう頭ごなしに否定さ
     れては皆嫌になってしまうというものよ」
ぬらり 「うむむ…しかしじゃな?こう伝統ある妖としてはじゃな?」
口裂け女「ハロウィンだって伝統ある文化よ?日本では少し毛色が違うお祭りになっちゃって
     るけどね。」
ぬらり 「ぐぬぬ…」
小豆洗い「まぁぬらじぃも文句ばっかり言ってないでさ、いっぺん参加してみるといいんじゃ
     ない?ハロウィン。」
ぬらり 「ワシが?冗談はよしてくれ」
口裂け女「そう?一度経験してみるのもいいと思うわよ?それでも否定するならそれでいいけ
     ど、触れもせず文句を言うと本当に誰も来なくなっちゃうわよ?定例会。」
ぬらり 「しかしじゃな…ワシには日本妖連盟の会長としてのプライドが…」
小豆洗い「会長なら西洋の妖についてもしっかり研究しなきゃ。」
ぬらり 「むむむ…少し、考えてみるわい。」


BGM:ハロウィンらしい賑やかなBGM
SE:雑踏


ぬらり 「これがハロウィンか…誰も彼も浮かれておるなぁ。」
若い女 「わ!おじいちゃんがコスプレしてるーかわいいー」
少年  「ホントだ!あれなんだろ?」
ぬらり 「なんじゃ?ワシをみてはしゃいでおるようじゃが?」
若い女 「こんにちはー。おじいちゃんハロウィンのコスプレなんてお若いんですね。」
少年  「うわぁ、近くで見ても作りこみ凄いよこれ。本物の着物みたいだ。」
ぬらり 「なんじゃ?こすぷれ?なにを言っておるのかわからんが…貴様ら、ワシが怖くない
     のか?」
若い女 「わー、役造りも完璧だ!完全になりきりってやつですね!」
少年  「一体何のコスプレなんですか?日本の妖怪…ですよね?」
ぬらり 「こすぷれ?というやつが何なのかわからんがワシはぬらりひょん、大妖怪じゃ。」
若い女 「ぬらりひょん!私でも聴いたことある!こんな見た目なんだぁ!」
少年  「あー!その長い頭!そっかそっかぬらりひょんかぁ!」
ぬらり 「ほう?貴様らワシのことを知っとるのか?」
若い女 「ちょっと前にお孫さんがアニメに出てたしねー」
少年  「古いアニメで日本妖怪の大将って聞きました!すごい妖怪さんなんですよね!」
ぬらり 「うむ。孫というのはちとわからんがその通り。ワシこそが日本妖連盟会長のぬらり
     ひょんじゃ。」
若い女 「すごーい!」
少年  「かっこいい!あ、写真いいですか?」
ぬらり 「む、人間どもの記録装置か。偶にはこの姿を残しておいてやるのもいいかもしれぬ
     な!いいぞ、小僧。特別に許可してやろう!」
少年  「やった!ありがとうございます。ほら姉さん、並んで並んで。」
若い女 「はーい。それじゃあおじいちゃん一緒に。」
ぬらり 「む…妙に近い気がするがまぁ寛大な心でゆるしてやろう。うむ、ワシは偉大な妖怪
     じゃからな。うむ、特別じゃぞ……もっと近づいてもよいぞ?」
若い女 「ホントですか?それじゃあ腕なんて組んじゃってー」
少年  「あーいいなぁ!後で僕も変わってよ。」
ぬらり 「うむ、さぁこの姿後の世に残すがいいぞ。」
若い女 「それじゃあハイチーズ。」
ぬらり 「ち、ちーず。」
少年  「パシャリ、と。はい姉さん変わって変わって。」
若い女 「はいはい。」
ぬらり 「そういえば貴様たち奇妙な格好をしておるがそれが今の人間の流行りかの?」
少年  「違いますよ。これ、ハロウィンのコスプレなんです。姉さんがマミー、ミイラ女で
     僕が狼男。」
若い女 「かわいいでしょ?おじいちゃん。」
ぬらり 「う、うむ。二人とも中々に似合うておる。まるで本物の妖じゃ。」
若い女 「やった!偉い会長さんに認められちゃった。」
少年  「頑張ったかいがありました。」
若い女 「ほら、撮るわよー。おじいちゃんも笑って笑って。」
ぬらり 「う、うむ。チーズ。」
少年  「チーズ!」
若い女 「はい撮れたー。おじいちゃん、ありがとうね。」
少年  「ありがとうございます。」
若い女 「あ、そうだ。ちょっと待っててね。」
少年  「あ、姉さん!…すみません。姉がご迷惑を。」
ぬらり 「構わん。ワシは大妖怪じゃからな。それより小僧。」
少年  「はい?なんですか?」
ぬらり 「貴様、このハロウィンとやら、楽しいか?」
少年  「はい!とっても楽しいです。」
ぬらり 「そうか。」
少年  「はい!今日のおじいさんみたいに新しい妖怪とかのことを知れるし、こうやって僕
     たちがコスプレすることで、色んな人に色んな妖怪とかそういうの知ってもらえま
     すから!」
ぬらり 「そうか。この後も楽しめよ、小僧。」
少年  「?わかりました!」
若い女 「お待たせ!はい、おじいちゃん!」
ぬらり 「なんじゃ?これは。」
若い女 「さっきの写真!プリントしてきたの。」
ぬらり 「そうかそうか。ありがたく頂戴しておこうかのう。」
若い女 「また来年も会えたらいいね!おじいちゃん!」
少年  「おじいさんもハロウィン楽しんでくださいね!」
ぬらり 「ああ。」


SE:おどろおどろしいBGM


ぬらり 「さて、今月の定例会じゃが。」
口裂け女「また三人だけね。」
小豆洗い「皆忙しいみたいだね。」
ぬらり 「あーお前らに先に伝えておこうかの。」
口裂け女「何かしら?」
ぬらり 「ハロウィンとやら、中々に楽しめたぞ。」
小豆洗い「おーぬらじぃ行ったんだハロウィン!その様子じゃ楽しめたみたいだね。」
ぬらり 「お前らのいっとったこともようわかった。知らぬものを頭ごなしに否定してはいか
     んとな。」
口裂け女「色々あったみたいね。でもいい傾向だと思うわ。」
ぬらり 「うむ、これからは多少頭を柔らかくしていかんとな。はっはっは!」
小豆洗い「あれ?なんか落ちたよ、写真?」
口裂け女「これは……」
ぬらり 「どうした?貴様ら。」
口裂け女「あーそういうことね。」
小豆洗い「おじいちゃんも若いねぇ。」
ぬらり 「どういうことじゃ?」
口裂け女「これ、若い女の子と写ってデレデレしちゃってますね。」
小豆洗い「若い女にうつつをぬかしてハロウィン認めちゃうとかさーちょっと引くよね。」
ぬらり 「ちょっと待て!それは違う!デレデレもしとらんわ!」
口裂け女「この顔で言われてもねぇ。」
小豆洗い「説得力ないよねぇ。」
ぬらり 「違うんじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 

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