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​死者真

登場人物:4人(モブ1名) (男:2女:2人 )

・瀬尾孝道    :男性

・佐伯美紀    :女性

・少年      :男性

・山野真矢    :女性

山野「ポーズってこんな感じでいいのかな?」
瀬尾「ああ、自然体で撮りたいからね。」
山野「でも恥ずかしいなぁ。この写真コンテストに出すんでしょ?」
瀬尾「大丈夫、これなら絶対金賞取れるさ。」
山野「あはは、凄い自信家だね、瀬尾君。」
瀬尾「モデルがいいからね、自信も湧くさ。」
山野「ありがと。でもホントに良かったの?私の分も旅費だしてもらっちゃって。」
瀬尾「モデル料ってことで。金賞取れたらもっといい所連れて行くよ。」
山野「やったー!じゃあさじゃあさ……」

 


SE:港の音

瀬尾「ここに来るのは何年ぶりだ?…変わらんな、田舎というのは。」

SE:煙草に火をつける音

瀬尾「…ふぅ……タクシーもないんだったか、この島は。」

SE:歩き始める

瀬尾「バス乗り場は…あっちか。」
佐伯「あの、すみません。」
瀬尾「はい?」
佐伯「もしかして、瀬尾孝道さんですか?」
瀬尾「……こんなところに私のことを知っている人が居るとはね。」
佐伯「あ、すみません。プライベートでいらっしゃっているのにお声をかけてしまって。」
瀬尾「いや構わないよ。君のように若いお嬢さんに知ってもらっているのは嬉しいものさ。」
佐伯「私、学校で写真部に所属してまして、それで瀬尾さんのことを。」
瀬尾「なるほど、私のような一発屋を知っているなんて珍しいと思ったらそういう事か。」
佐伯「一発屋だなんてそんな、三年前の個展もとても素晴らしかったです。」
瀬尾「それは…あんな田舎の個展まで足を運んでくださって光栄だね。」
佐伯「いえ…瀬尾さんはどのようなご用件でこちらの島に?撮影ですか?」
瀬尾「いや、骨休めの旅行だよ。こいつは手放せないがね。」
佐伯「それ、カメラですか?」
瀬尾「見てみるかい?写真部なんだろ?」
佐伯「いいんですか?お仕事道具なのに。」
瀬尾「これは趣味の奴だ。仕事用はかさばってね、旅行には向かないんだ。」
佐伯「なるほど…これ、相当お古い物ですね。」
瀬尾「そう、私が学生時代から付き合いのある相棒さ。」
佐伯「ということは、その。」
瀬尾「ん?…ああ、あの写真もこいつで撮ったんだ。」

 

佐伯「すみません、折角のご旅行なのに。」
瀬尾「いや、構わないよ。後進の育成も年寄りの務めだ。」
佐伯「そんな、まだまだお若いですよ。」
瀬尾「もう人生も半分生きた、十分年寄さ。それより、こういう被写体の場合はこっちの方が写りがいい。」
佐伯「あ、本当ですね、光の加減が全然違う。」

山野(凄い、撮り方一つでこんなに変わるんだね。)

佐伯「瀬尾さん?」
瀬尾「あ、ああ…すまない。」
佐伯「どこか体調が優れないのですか?顔色が…」
瀬尾「少し立ち眩みがね、ここまでにしておこうか。」
佐伯「すみません、お時間を取らせてしまいまして…」
瀬尾「気にする必要はない、しばらくはこの島に滞在しているだろうから、また見かけたら声をかけてくれ。」
佐伯「よろしいのですか?」
瀬尾「君は筋がいい、良い写真家になる。」
佐伯「ありがとうございます。」

 

瀬尾(思っていたよりも体調が悪いな…)
少年「大丈夫ですか?」
瀬尾「…あぁ…少し眩暈がね。」
少年「熱中症かもしれません、木陰に。僕、冷たい飲み物買ってきます。」

SE:遠ざかる足音

瀬尾「……」

山野(大丈夫?荷物持とっか?)
瀬尾(これくらい平気さ、モデルにそんなことさせられないよ。)
山野(汗だらだらなのに強がるねぇ、熱中症には気を付けなよ。)

SE:近づいてくる足音

少年「これどうぞ、ゆっくり飲んでくださいね。」
瀬尾「すまないな…」
少年「首とかにペットボトルつけて冷やすといいらしいですよ。」
瀬尾「……ふぅ…少しマシになったよ。」
少年「ここのところ熱いですからね。」
瀬尾「君はこの辺の学生さんかい?」
少年「今夏休みなので、学生というか暇人ですね。」
瀬尾「君が暇だったお陰で助かったな。」
少年「暇ついでに荷物、旅館まで運びましょうか?」
瀬尾「それは助かるが…」
少年「ここから結構遠いですもんね。」
瀬尾「何故私の泊っている旅館を?」
少年「この島には宿泊施設なんて一件しかありませんよ。」
瀬尾「なるほど、じゃあ申し訳ないがお願いしようか。」
少年「ええ、体調が回復したら行きましょう。」

 


少年「へぇ、この島は初めてじゃないんですね。」
瀬尾「とは言っても久方ぶりだからな、様変わりはしているよ。」
少年「親戚の方とかいらっしゃるんですか?」
瀬尾「いや、以前旅行で来た時に気に入ってね、それ以来体を休めたいときに来るんだ。」
少年「いいですね、隠れ家的な心休まる島。」
瀬尾「ああ、何もないというのはいいものさ、都会の喧騒を忘れさせてくれる。」
少年「僕なんかは逆に都会が羨ましいですけどね、ここは静かすぎて。」
瀬尾「お互い無い物ねだりというわけだな。」
少年「はは、そうですね、っと着きましたよ。」
瀬尾「君には助けられた、なにかお礼をしなければ。」
少年「困ったときはお互い様ですよ。」
瀬尾「しかしな…」
少年「じゃあ今度また会ったら話し相手になってくださいよ、暇人なもので。」
瀬尾「いや…そうだな、その時には年寄りの長話に付き合ってもらうとしよう。」
少年「はい、それじゃあ。」

SE:遠ざかっていく足音

 

山野「なんか恥ずかしいな、この恰好。」
瀬尾「大丈夫、似合ってる。」
山野「それにしてもこの前のじゃダメだったの?写真。」
瀬尾「新しい構図を思いついちゃってね、付き合わせて申し訳ない。」
山野「全然!結構楽しいし、綺麗な服も着れるからね、役得ってやつですな。」
瀬尾「それは良かった、じゃあ撮影場所に行こうか。」
山野「うん。」

 

佐伯「すみません、連日お世話になってしまって。」
瀬尾「昨日は中途半端だったからな、こちらとしてもおさまりが悪かった。」
佐伯「お体の方はもう大丈夫なんですか?」
瀬尾「ちょっとした熱中症だった、通りすがりの少年に助けられたよ。」
佐伯「通りすがりの?」
瀬尾「君と同じ学校の生徒だろう、名前を聞くのを忘れてしまったが。」
佐伯「……」
瀬尾「どうした?」
佐伯「いえ、大事無くてなりよりです。」
瀬尾「今日は…そうだな、光の当たり具合を勉強しよう。」
佐伯「はい、よろしくお願いします。」

 


佐伯「その…つかぬことをお尋ねするのですが。」
瀬尾「なんだ?」
佐伯「先生の代表作についてなんですが。」
瀬尾「ああ、まぁ私のことを知っているならその話を聞きたがるか。」
佐伯「すみません。」
瀬尾「構わないさ、今まで何百回と聞かれてきたことだ。」
佐伯「先生の代表作『死写真』に写っていたのは」
瀬尾「本物だ。」
佐伯「それは…本物の死体、という意味ですか?」
瀬尾「そうだ、あれに映っているのは紛れもない本物の死体だ。」
佐伯「どうやって本物の死体を?」
瀬尾「あの被写体は元々私のモデルをやってくれていた女性だったんだがね、」
佐伯「はい。」
瀬尾「あの日撮影現場に行ったとき、そこで彼女が自殺をしていたんだ。」
佐伯「そんな…」
瀬尾「理由は私もわからない、男女間のトラブルとも、金銭面でのトラブルともいわれていたがね、私はなにも知らなかったんだ。」
佐伯「それで、写真を?」
瀬尾「知らず、シャッターを切っていた。君もあの写真を見たことがあるならばわかるだろう?彼女の死体は美しすぎたんだ、あまりにも。」
佐伯「そう、ですね…この世のものとは思えないほど。」
瀬尾「それをコンテストに出展するかは、とても悩んだ。道徳的にも、倫理的にもね。」
佐伯「でも、あなたは出展した?」
瀬尾「彼女の最後の一枚だ、この世で最後の。そう思うとね、この写真を世に出さないのはそれこそ死者への冒涜ではないかと、そう考えてしまった。」
佐伯「それがあの写真……」
瀬尾「ああ、私の代表作にしていまだ超えられない最高の一枚だ。」

 

瀬尾(駄目だ、こんな写真じゃ、あれを超えられない。)

瀬尾(また駄目だった。彼女を超えられる写真を、俺は撮れない。)

瀬尾(なんど繰り返しても、届かない。何故だ?なぜ私は)

瀬尾(彼女の死を超えられない?)

 

瀬尾「無いっ!アレが無い!」
瀬尾(何故アレがない?きちんとしまっていたはずなのに…物取り?いやそれならば価値のあるカメラの方がなくなっているはず。アレがどういうものなのかわかるのは私のことを知っている奴、ならば……)
瀬尾「あの女っ……」

 

瀬尾「すまないっ、女学生を探しているんだが。」
村人「はい?女学生?」
瀬尾「この辺の学校に通っている、黒くて長い髪の、佐伯とかいう…」
村人「この辺の学校は遠の昔に廃校になっとるよ。」
瀬尾「は?」

村人(そもそもこの島には若いもんなんておらんよ。)

瀬尾「どういうことだ…どういうことだ、どういうことだ!あの女!私のアレを持ち出しておいて、しかも嘘を吐いていた?」
瀬尾「ふざけるな!どこに行った!」
少年「どなたかお探しですか?」
瀬尾「っ!君は……いや…君と同い年くらいの黒い長い髪の女学生を探していてね。」
少年「それなら、あちらの坂の上にある廃校の方にいましたよ。」
瀬尾「そうかっ!ありがとう。」
少年「お気になさらず。」
瀬尾「急いでいるので失礼する、この礼はまた今度。」
少年「ええ、お話できるのを楽しみにしていますよ。」

 

佐伯「あれ?先生もここで撮影ですか?」
瀬尾「見つけたぞ……」
佐伯「先生?」
瀬尾「見つけたぞ!アレをどこへやった!」
佐伯「アレ?アレってなんです?」
瀬尾「しらばっくれるな!私のバッグから、あのアルバムを抜き取ったのはお前だろう?」
佐伯「アルバム?」
瀬尾「しらばっくれるなと言っている!」
佐伯「きゃっ!」

SE:ぶつかる音
SE:倒れる音

瀬尾「死んだ…いや、気絶した…か?」
佐伯「……」
瀬尾「アレをどこへやった?どこに隠した?」

SE:近づいてくる足音

少年「お探しの物はこちらですか?瀬尾孝道さん。」
瀬尾「君は、なぜ私の名前を……」
少年「僕はあなたに近しい趣味をもった人間ですよ。」
瀬尾「何を言っている?早くそれをこちらに返せ!」
少年「彼女、生きてます?」
瀬尾「知るか!そんなことより…」
少年「まぁいいや。死体の写真で華々しくデビューを飾った若き天才写真家瀬尾孝道。」
瀬尾「おい!」
少年「しかし彼はそれ以降コンクールで賞を取ることはなく、」
瀬尾「返せと言っている!」
少年「死体の写真を撮ることはなかった。」
瀬尾「それがどうした?私のことを馬鹿にしているのか?」
少年「いえ、不思議だったんですよ、あれほど素晴らしい死を目の当たりにした貴方が、その後死に取り憑かれていないことが。」
瀬尾「何を言っているんだ君は?」
少年「あれだけ素晴らしい死を生み出した貴方が、死を忘れられるでしょうか?そんなことはありえない。だって、貴方はこちら側だから。」
瀬尾「狂ってるのか?貴様。」
少年「殺したんでしょう?山野真矢さん。」
瀬尾「は」
少年「血の鮮度、まだ硬直していない体、絶望の表情、あれは殺された直後に撮られた写真だ。」
瀬尾「違う、彼女は自殺で」
少年「当時彼女とお付き合いしていた方にお話を聞きました。」
瀬尾「な、に?」
少年「彼女は死ぬ一月前に婚約をし、半年後には結婚を控えていました。」
瀬尾「あ、あああああああぁぁぁぁ。」

山野(やったー!じゃあさじゃあさ……その旅行、私の婚約者と一緒でもいい?瀬尾君にも紹介したいし。)

少年「動機は、まぁ察しがつきます。貴方は彼女を殺しそして、」
瀬尾「……綺麗だったんだ。」
少年「はい。」
瀬尾「それまでのどの彼女よりも、死んだ彼女の表情が綺麗で、それで」
少年「写真を撮った。」
瀬尾「そうだ。」
少年「その写真があまりにも綺麗だったから、貴方は」
瀬尾「また、撮りたくなった。」
少年「だからこうして、何人も殺した。」

SE:アルバムをめくる音

瀬尾「ああ、もう一度、あの美しい写真を撮りたかったんだ。だが、」
少年「嘘ですね。」
瀬尾「な…」
少年「本当に最初の一枚を超えたいだけだったら、別に失敗作を残しておく必要はないですよね?こんなもの、なんの価値もない。」
瀬尾「そ、れは…」
少年「酷いものだ、ただ闇雲に殺して、撮って、それであの写真を超えられるわけないじゃないですか。」
瀬尾「違う、私は」
少年「貴方はあの写真を超えたかったんじゃない、ただ」
瀬尾「違う!」
少年「人を殺して写真を撮りたかっただけの、狂った殺人鬼ですよ。」
瀬尾「違う、違う…私は、写真を撮るために…超えるために殺さなければいけなかったんだ。」
少年「そうです、悔い改めてください。」
瀬尾「なにを」
少年「これからは心を入れ替えて、あの一枚を超えるために、写真を撮り続けてください。」
瀬尾「……」
少年「僕は楽しみにしているんです、あの素晴らしい作品を超えた写真を見ることを。」
瀬尾「私を…警察に突き出さないのか?」
少年「そんなことをしても僕になんの得もないじゃないですか。貴方には、素晴らしい写真を生み出してもらわないと。」
瀬尾「……君は」
少年「はい?」
瀬尾「君はなんなんだ?何故私にそんなことを言う?」
少年「僕はね、死が好きなんですよ。生物の避けることのできない終着点、そこにある美しさに魅入られた、ただの高校生です。」
瀬尾「まともじゃない。」
少年「お互い様ですよ。」

 

少年(僕は君の死を見たい。)

少年「やぁ、佐伯さん。」
佐伯「なに?今忙しいんだけど。」
少年「新聞なんか眺めるより、ネットの方がいい情報が流れてると思うけど?」
佐伯「苦手なのよ、インターネット。」
少年「えーと、N県で身元不明の猟奇殺人?物取りの線も薄く、怨恨の線も薄い。」
佐伯「もうちょっと写りのいい写真使えないものかしら。」
少年「新聞に期待しすぎでしょ。」
佐伯「文章ももうちょっと現場の情景をしっかり伝えてくれればいいのに。」
少年「あ、写真といえば、瀬尾孝道って知ってるかい?」
佐伯「なに?藪から棒に。」
少年「いや、君好みの話だから知っているのかなと思って。」
佐伯「もちろん知ってるわ、20年前に話題になった写真家でしょ?」
少年「そう、話題になった理由は。」
佐伯「死者の写真、知らなかったらにわかよ。」
少年「僕らの生まれる前の話だけど、当時はすごかったらしいね。」
佐伯「特殊メイク説、作り物説、画像加工説、そして…本物の死体説。」
少年「血の滴るあまりにもリアルな死体の写真、モデルとなった女性は不明、一説には警察の取り調べを受けたともされている。」
佐伯「20年前の都市伝説的なカルト人気作品、今は知らない人の方が多いんじゃないかしら。」
少年「君はどうだい?あれが本物の死体だと思う?」
佐伯「何年か前に地方で瀬尾孝道展をやっていたのよ。」
少年「へぇ…知っていれば僕も行きたかったな。」
佐伯「そこで実際の写真を見たのだけれど、少なくとも私はそこに死を感じたわ。」
少年「本物の死者の写真だと?」
佐伯「偽物だったとしたら相当死体を見慣れている人物じゃないかしら。」
少年「僕たちみたいな人種という事?」
佐伯「さぁ、どうかしらね……それで、本題はなに?」
少年「?」
佐伯「前振りが長いのがアナタの短所ね、なにかあるんでしょう?」
少年「せっかく持ってきた良いネタなんだから、フリは大切でしょ?」
佐伯「アナタのその普通の人間のフリ、背筋が凍るからやめて頂戴。」
少年「君こそもう少し取り繕った方が生きやすいんじゃない?」
佐伯「アナタに取り繕う必要なんてないでしょう?」
少年「それもそうか…それじゃあ率直に、もし瀬尾孝道に会えるとしたら、君は会いたいかい?」

少年(僕と同じく死に魅せられた存在。)

少年「どうだった?本物の瀬尾孝道は。」
佐伯「まさか本当に本人に会えるなんてね。アナタのツテってどうなってるの?」
少年「君と違って普段から外面はいいからね、知り合いは沢山いるんだ。」
佐伯「数年に一度、かつて死者の写真を撮ったとされる写真家が向かう島。そこが」
少年「この島というわけ。」
佐伯「よく来るタイミングまでわかったわね。」
少年「小さな島だから、宿泊施設は一つ。そこの従業員のSNSで滅多にいない宿泊客がいることをチェック。過去の情報からそろそろだろうなってあたりをつけてビンゴって感じ。」
佐伯「外れていたらどうするつもりだったの?」
少年「楽しく田舎観光して終わり。」
佐伯「ぞっとするわね、良かった彼が来てくれて。」

少年(危うく、儚く、それでいて自ら無防備に死に近づく、そんな君の死を、僕は見てみたい。)

少年「羨ましいね、瀬尾孝道に教えを請えるなんてさ。」
佐伯「写真なんて全然興味ないから苦痛なだけよ。でもいい話は聞けたわ。」
少年「例の写真の話?」
佐伯「そう、後でアナタにも教えてあげるわ。」
少年「それは楽しみだ。」

 

少年「これは期待外れだなぁ。」

SE:アルバムをめくる音

少年(君の死体の写真、見たかったんだけどな。これじゃいいものは撮れそうにない。)
少年「うん、彼には気持ちを入れ替えて頑張ってもらおう。」

少年(僕は最高に美しい君の死が見たいんだ。)

 

少年「佐伯さん、生きてる?死んだ?」

SE:写真を撮る音

佐伯「……なに勝手に撮ってるの、変態。」
少年「リアクションがないのがさみしくて。いつから目が覚めてた?」
佐伯「ついさっきよ、瀬尾孝道が立ち去るくらいのタイミング。」
少年「危うく写真の仲間入りだったね。」
佐伯「なに?写真って。」
少年「さぁ?それよりそろそろ帰ろうか、瀬尾孝道にも会えたし。」
佐伯「最低だわ、急に怒鳴って殴りかかってきて。」
少年「災難だったね。」
佐伯「とてもあの繊細な写真を撮った人とは思えない、ファンやめるわ。」
少年「それがいいかもね。」

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