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​ラヴィエールのホワイトデー商戦

登場人物:5人(男:4人 不問:1)

・桜井 …男性

・黒瀬 …男性

・波野 …男性

・雪本 …男性

​・栗原 …不問

黒瀬「ぱんぱかぱーん。第3回ホワイトデー商戦に向けての作戦会議ー。」
桜井「……はい?」
黒瀬「聞いていなかったのか。ぱんぱかぱーん。第3回ホワイトデー商戦に向けての作」
桜井「いや、聞こえてましたけど。何ですか急に呼び出して作戦会議って。」
黒瀬「先日はバレンタインデーのおかげで売上が通常の2倍以上だったろう。ならばそのお返しとも言えるホワイトデーはさらにその上を目指さねばならない。その為にはどのような取り組みをしたらいいかを話し合う、それがこの会議の目的だ。」
桜井「そういうのってもっと上の人がやるものじゃ……?」
波野「現場の声を聞くのが一番なんだってさ〜。よくわかんないけど。」
雪本「大方考えるのが面倒臭いだけでしょう。帰っていいですか?」
桜井「身も蓋もないこと言わないでくださいよ!俺だって帰りたいです!」
黒瀬「静粛に。この会議には我々の……ラヴィエールの未来が掛かっている。特に桜井、お前の働きが全てを握っていると言っても過言ではない。」
桜井「え、俺ですか?!キャストじゃないですよ?」
黒瀬「黒服だからこそだ。視野の広いお前なら、より多くのことに気づけるだろう。この店には何が足りず、どうしたらより良質なサービスを提供できるのか。桜井だけではなく皆も意見を聞かせて欲しい。」
桜井「ま、まあそういう事なら……。」
波野「お願いが叶うってこと〜?面白そ〜。」
雪本「残業代はきっちり頂きますよ。」
黒瀬「うむ、協力感謝する。それでは始めようか。ぱんぱかぱーん。第3回ホワイトデー商戦に向けての」
桜井「それはもういいですから!」
波野「ぱんぱかぱーんってなに〜?」
桜井「波野さんも掘り下げないで!」
黒瀬「では最初の議題だ。まずメニューに関してだが」
波野「ねえねえ、ぱんぱかぱーんってなに〜?」※まで喋り続ける
雪本「例年通り、期間限定メニューでいいんじゃないでしょうか。」
黒瀬「例年通りと言うと、ホワイトチョッコレートをふんだんに使ったパッフェなどのスィッツか。」
桜井「(何その発音。)」
雪本「何ですかその発音、しゃっくりですか?」
黒瀬「む、何か変だったか?」
雪本「いえ、個性的で宜しいかと。」
桜井「(いや変だろ!)」
黒瀬「だがまるっきり同じというのもな……何か一捻りしたものが欲しい。例えばホワイトチッョコレートでメッセージを書いた何か……うーむ、ありきたりか。」
桜井「ハートのマシュマロを乗せたドリンクとかですか?」
雪本「そういう馬鹿みたいな……ゴホン、そういう写真映えだけを追い求める頭のネジの抜けたパリーピーポーにウケそうな案は栗原の方が得意そうですね。」
桜井「(言い直した意味!切れ味上がっちゃったよ!?)」
黒瀬「そういえば栗原はまだか。随分時間がかかっているな。」
桜井「姫を駐車場まで送るって出ていきましたけど。」
雪本「引き止めて小遣いでもせびっているんでしょう。いつもの常套手段です。まったく、そんなことするぐらいならボトルの1本でも開けて……」※
栗原「ぱんぱかぱーん!マロンくんがもどったよー?えっへへ、姫と話してたら遅くなっちゃった!しかも、僕はいいよーって言ってるのにお小遣いまで貰っちゃって……え、なにこの空気。お通夜?」
波野「栗原。ぱんぱかぱーんって、なに?」
栗原「……ふぇ?」

黒瀬「……という議題なんだか、なにかいい案はあるか。」
栗原「なんだそんなことー?簡単だよ。期間限定メニューの特典としてチェキとか投げキッスとか、ファンサしてあげればいいんだよ!」
黒瀬「なるほど、メニューによって特典を変えるとより効果がありそうだな。」
栗原「黒っちわかってるじゃーん!金額高いやつはやっぱりレアなのあげたいよね。」
波野「レア〜?お肉〜?」
桜井「クーポン券とかですか?」
栗原「のーん!全然ダメダメだよ。形より記憶に残るものがいいの!そう、例えば……愛の告白とか!」
雪本「嫌です。録音されて悪用されたらどうしてくれるんですか。」
黒瀬「形に残らないものなら録音は厳禁だろう。」
桜井「いや、そもそも録音はダメですよ。」
雪本「お断りします。俺は栗原のように客に媚びたりしませんから。」
栗原「僕のようにってなんだよ!ちぇー、せっかくいい案だと思ったのになぁ。」
波野「俺は面白そ〜って思ったよ?」
黒瀬「うむ、悪くない提案だったが接客により高い技術が必要になるのは間違いない。雪本のようにキャラクター性とマッチしない場合は特にな。全員に強制することは難しいだろう。」
栗原「いいじゃんギャップ萌え!ねぇやろうよー!」
黒瀬「我儘を言うな栗原。雪本だって困っているだろう。」
雪本「ええ、困ります。バリカンで刈り上げて差し上げたい気分です。」
桜井「(困ってる人の発言じゃない……!)」
波野「レアでマッチ……じゃあ桜井がやれば〜?」
桜井「え、俺が何を……?」
波野「なんだっけ。こくはく〜?」
桜井「無理です!需要ないですって。」
黒瀬「いや、告白ではないにしても黒服が何かするというのはいい提案だな。俺にも出来ることがあるかもしれない。」
栗原「ええー?重量上げでもするの?」
桜井「ここホストクラブですよね?!」
雪本「特典とはまた違いますが、黒服の衣装を変えるのはいいかもしれませんね。ホワイトデーに因んで白い服とか。」
波野「白〜?コック?」
桜井「レストランみたいになりますね。」
栗原「白スーツだと目立ちすぎじゃない?ワンポイントぐらいでいいんだよ。うさ耳とか!」
雪本「邪魔になるでしょう。もっと体に密着しているもの……ああ、顔におしろいでも塗ったらどうですか?」
桜井「それちょっとしたホラーですよね!?」
波野「じゃあ髪の毛白くすれば〜?黒瀬も白髪隠せるし〜一石二鳥じゃない?気になってたんだよね〜。」
黒瀬「そんなに目立っていたのか……。」
桜井「やめてあげて!黒瀬さん傷ついてるから!」
栗原「文句ばっかり。桜っちは何かないの?」
桜井「ええ?変なのでなければ何でも……仮面とか?」
栗原「いいじゃん。白地にして柄で個性出したら映えそう!」
黒瀬「顔を隠せるなら目立たないだろうしな。他に意見は?」
雪本「特になし、賛成です。」
波野「いいと思うよ〜。」
黒瀬「決定だな。では次の議題に移ろう。」
桜井「え、あの、いいんですか?」
黒瀬「なんだ桜井。他に意見があるのか?」
桜井「いえ、ありがとうございます。」
桜井「(……認めて貰えた。あんなに纏まらなかった会議が一瞬で……俺も少しづつだけど、この店に貢献出来てるってことなのかな。)」
黒瀬「では次の議題だが……おっとその前に、特典の話が纏まっていなかったな。限定ボトルの特典はどうする?」
雪本「桜井さんがパルクール。」
波野「桜井がどじょうすくい〜。」
栗原「桜井っちがブレイクダンス!」
桜井「なんで俺なんですかああああああああ!!!!」

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