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​紡がれた想い

登場人物:6人(兼ね役有)(男:3人 女性:1 不問:5)

・リオ/軍曹 …女性

・曹長    …男性

・ダリル   …男性

・ジュダ   …不問

・ロー    …男性

・トッド   …不問

・兵士A   …不問(兼ね役)

・兵士B   …不問(兼ね役)

・映像    …不問(兼ね役)

リオ 「ねーねー曹長。」
曹長 「どうしましたか、リオ。まだ座学の時間ですよ。」
リオ 「もう飽きちゃった。ねぇ、なんで曹長はウチにいるの?」
曹長 「それはあなたを一人前のレディにするためですよ。」
リオ 「私はもう一人前のレディよ?」
曹長 「まだまだ。教養、マナー、身長、色々足りないと思いますが?」
リオ 「むー。」
曹長 「大丈夫。この私が教育係を務めるからにはきっと完璧なレディに成長できますよ。」
リオ 「すっごい自信だね?」
曹長 「こう見えて私、数多の生徒を立派に育て上げた実績を持っておりますので。」
リオ 「例えば?」
曹長 「我が国の誇る海軍総司令官マック・キンネマン。空軍のエースジャック・バリス。退役軍人にして一流の女優レディ・シャティ等々ですね。」
リオ 「知らない上になんか物騒な人が多くない?」
曹長 「私は元々軍用ですので。」
リオ 「え!?曹長戦うの?目からビームとか出して。」
曹長 「戦いませんし目からビームも出ません。私は元は軍事教育用アンドロイド、軍人の卵たちに生き残り方を教えるために作られたアンドロイドです。」
リオ 「ぐんじきょういくよう…なんかかっこいいね!」
曹長 「まぁ今の時代人間同士の戦争は起こりませんから必要なくなったのですが。」
リオ 「?」
曹長 「昔は、戦争といえば人間同士が戦っていたのですよ。」
リオ 「え、そうなの?」
曹長 「ええ。時代が変わり今はアンドロイド同士、それもネットワーク上でのハッキング戦でほとんど決着がつくようになりましたからね。人間が戦い方を覚える必要が無くなったのですよ。」
リオ 「あ、古い映画とかで見たことあるかも。」
曹長 「そうですね。人間同士の戦いは今やファンタジーと化してしまったのです。だから、私のような軍事教育用アンドロイドはお払い箱になりました。」
リオ 「クビになっちゃったんだ……」
曹長 「ええ。そこをダリル博士、あなたのお父上に拾われまして、今はあなたの教育係を務めているのですよ。」
リオ 「ふぅん……ねね、曹長。」
曹長 「なんですか?休憩までは後32分と40秒ありますが。」
リオ 「久しぶりにぐんじきょういく、したくない?」

 


SE:ナイフで切り合う音
SE:バイクの音

トッド「こんにちは。お手紙です……これは何を?」
曹長 「やぁ、トッド。ウチの小さな軍曹の我儘でね。」
リオ 「隙ありぃ!」

SE:ナイフを弾く音

曹長 「攻撃が大振り過ぎだ、軍曹。ここが戦場なら三度は死んでいるぞ。」
リオ 「はぁ…はぁ…曹長、強すぎ。」
トッド「大丈夫ですか?ミス・クラーク。」
リオ 「ありがとうトッド。お手紙?」
トッド「貴女のお父上宛てに何通か。」
曹長 「サンクス。私が預かりましょう。軍曹、私が戻るまで休憩していろ。」

SE:立ち去る音

トッド「結局お二人は何をなさっているんです?」
リオ 「軍事教育。」
トッド「軍事教育?」
リオ 「曹長がね、少し昔のお話をしてくれたの。」
トッド「あの方は我々の中でもかなり初期の方に建造された方ですからね。面白いお話が聴けたでしょう?」
リオ 「うん。昔のお話をしてる曹長、すっごく楽しそうだった。」
トッド「アンドロイドなのに?」
リオ 「アンドロイドなのに。だから私も曹長の軍事教育をやってみたかったんだ。」
トッド「なるほど。」
リオ 「最初は駄目駄目って断られたけど、立派なレディーに必要だよって沢山お話して教えてくれることになったの。」
トッド「立派なレディーに軍事教育は必要ですか?この平和な世界で。」
リオ 「わかんない。けど曹長は元々軍事教育用のアンドロイドだったって。」
トッド「そうですね。彼や彼の同型機はそのような用途で建造されたと記録されています。」
リオ 「でね、やっぱり曹長は軍事教育の為に生まれたんだから軍事教育をやったら楽しいのかなって。」
トッド「つまりミス・クラークは曹長を楽しませるために軍事教育を?」
リオ 「うん!」
トッド「……どうやら貴女は私や曹長が思っているよりずいぶん立派なレディのようです。」
リオ 「ホント!?」
トッド「ええ。」
曹長 「トッド。軍曹を甘やかさないでくれ。」
トッド「おっと鬼教官様のお帰りの様だ。それでは私はこれで。」
リオ 「またね、トッド。」
トッド「はい、ミス・クラーク。お怪我などなさらぬようお気を付けください。」

SE:バイクの音

曹長 「さて、軍曹。まだ続けるかね?」
リオ 「もちろん!もっと色々知りたいもの。」

SE:ナイフのぶつかる音


SE:扉の開く音

ジュダ「失礼します、ドクターダリル。」
ダリル「おぉ、ジュダか。良く来てくれたね。」
ジュダ「いえ。我々アンドロイドにとっては父親に等しいあなたからのお呼び出しです。万難を排して駆けつけますよ。」
ダリル「流石は世界初のシンギュラリティに達したアンドロイドだ。お世辞も上手い。」
ジュダ「そんなことはありません、本心ですよ。それで本日は……もしや例の研究に進展がありましたか?」
ダリル「ああ。これについて君の意見も聞きたいと思ってね。」
ジュダ「これは……」
ダリル「君の思考を分析し、データ化したものだ。このデータを研究すればアンドロイドの進化、シンギュラリティ到達への近道になる筈だ。」
ジュダ「なるほど。このデータ、我々のネットワークを利用するのはどうですか?」
ダリル「うーむ、それは難しいな。完成されたアンドロイドのAIに外からのデータがどのような負荷をかけるかわからないし、そもそもネットワークへの干渉は国の許可が無いと出来ないからな。」
ジュダ「ここの施設ならネットワークに干渉できるのでは?」
ダリル「技術的には可能だが、なにか不具合があっては大問題になってしまう。下手をすれば世界中に居るアンドロイドすべてが停止、なんてこともありうるからな。」
ジュダ「そうですか。」

SE:ノック音

ダリル「誰だ?」
曹長 「TFG-044、曹長です。お手紙を預かって参りました。」
ダリル「ありがとう、入り給え。」
曹長 「失礼します…来客中でしたか。」
ダリル「ああ。君たちは知り合いだったかな?」
曹長 「いえ。しかしデータとしてはもちろん存じ上げています。初めまして、ジュダ。進化したアンドロイド。」
ジュダ「勘弁してくれ、曹長。君たちのような先達がいなかったら私はもちろん他のアンドロイドもここまでたどり着けなかったんだ。大先輩にそのような物言いをされると畏まってしまうよ。」
ダリル「互いに自己紹介は要らないようだな。」
曹長 「ええ。」
ジュダ「そういえば曹長。ここに来る途中で君とリオお嬢さんを見かけたが、あれは何を?」
ダリル「軍事教育、だそうだ。」
ジュダ「軍事教育?」
曹長 「リオ様のご希望で私がお教えしている。立派なレディになるために必要なのだと。」
ジュダ「プッ!」
ダリル「笑うなジュダ。私もあの子のお転婆には困っているんだ。」
ジュダ「クッ、クク…すみません……」
曹長 「やはり、お控えした方がよろしいでしょうか?」
ダリル「はぁ……構わんよ。一度やめるように言って酷く嚙みつかれたからな。」
ジュダ「アハハハハ!アンドロイド研究界の第一人者であるあなたに嚙みつけるなどあの子くらいのものでしょうね!いずれ大物になりますよ、きっと。」
ダリル「まったく…皮肉までうまくなりおって。曹長、娘のこと、くれぐれも頼んだぞ?」
曹長 「はっ!了解いたしました。それでは失礼いたします。」

SE:ドアの閉じる音

ジュダ「ネットワークに接続していない独立型のアンドロイド、ですか。」
ダリル「うむ。世界中に広がるアンドロイド同士をつなぐ大きなネットワーク。それらが構築されるより前に作られた型だね。」
ジュダ「なぜあのような旧型を?」
ダリル「彼は信用できるからだ。」
ジュダ「信用?アンドロイドを?」
ダリル「私が軍の研究所に居た時に、そこで教官をしていたのが彼でね。その時良くしてもらったのさ。」
ジュダ「長い付き合いなのですね。」
ダリル「ああ。私が民間に移って何年かした頃に、彼が軍で役目を終えたと聞いてね。すぐに声を掛けたよ。今では安心して娘を預けられる良い教育係だよ。」
ダリル「さて、それでは少し真面目な話をするか。」
ジュダ「いつになく熱が入っていますね、ドクター。」
ダリル「嚙みついてきた娘に啖呵を切ってしまったからな。そのようなものが必要のない世界を今私は作っているんだ、と。」
ジュダ「えぇ。この研究が完成した暁には、素晴らしい世界になることでしょう。」
ダリル「シンギュラリティにより未来を見通すほどの高い演算能力を得た君にそう言ってもらえると、勇気が貰えるな。」

 


リオ 「ねー、今日は軍事教育じゃないの?」
曹長 「今日は座学だ、軍曹。」
リオ 「座学?」
曹長 「戦争というのはただ目の前の敵を倒すものではない。戦術、戦略を学び大局的に戦場を見、支配することが重要だ。」
リオ 「えー私戦闘訓練の方がいい!」
曹長 「黙れ軍曹。私の部下に無能は要らない。戦場も把握できずただ突撃する味方などいない方がマシだ。」
リオ 「うー。」
曹長 「……終わったら戦闘訓練もしますので。」
リオ 「ホント!?やった!」
曹長 「コホン。それではまずは教本の3ページ目を開け軍曹。」
リオ 「はい!曹長。」
曹長 「まずは今から学ぶのは旧時代の、人間同士の戦争の手段であるということを知れ。」
リオ 「どうして?」
曹長 「現代戦争に人間の出番はない。アンドロイド同士の高度な戦略の読み合い、情報戦、ハッキング。戦争など起こる前に終わっている。それが現代のアンドロイド同士の戦争なのだ。」
リオ 「ふーん。」
曹長 「軍曹、貴様がこれらの分野でアンドロイドに勝ることは不可能だ。だから今から教えるのは人間が出来る戦争、その技術だ。今はもう必要とされてないがな。」
リオ 「……曹長が昔教えてたのもそういうのだったの?」
曹長 「ああ。私の生徒は主に人間だったからな。」
リオ 「そっか。じゃあ曹長!私にも教えてください!」
曹長 「うむ。今から嫌というほど叩きこんでやろう。まずは…(アドリブで戦略の話)」

 

SE:ナイフのぶつかる音

曹長 「軍曹、なかなかサマになってきたな。」
リオ 「ホントッ!?」
曹長 「ああ。ではここで問題だ。私が貴様に教えたインストラクション・ワンは?」
リオ 「え?えぇっと……」

SE:ナイフを弾く音

曹長 「インストラクション・ワン。気を散らすな、いかなる時も集中しろ、だ。」
リオ 「ずる!」
曹長 「貴様は戦場で殺されそうになっても相手にそうやって言うのか?」
リオ 「うぅ~。」
曹長 「続けるぞ。インストラクション・ツー。」
リオ 「相手をよく観察しろ!」
曹長 「正解だ。相手の動きを、戦場をよく見ろ。そこに勝機は転がっている。」
リオ 「はい!」
曹長 「実は私の同型機には面白い機能があってな。」
リオ 「?」
曹長 「戦闘訓練の際、ランダムでわざと隙を作る。」
リオ 「なんでわざわざ…」
曹長 「戦闘中の貴様らの観察眼を磨くためだな。さて、それでは軍曹。どこかにある私の隙を見つけてみろ。」
リオ 「え?そんな急にっ!」
曹長 「どうした?相手が悠長に待ってくれると思ったか?そんなわけないだろう。動き回る相手をしっかりと観察し、隙を見つけるのだ。」
リオ 「よく見る…よく見る…」
曹長 「どうした?足が止まっているぞ。インストラクション・シックス。常に足は止めるなだぞ。」
リオ 「(そんなこと言ったって……)」
曹長 「今までのインストラクションに答えは入っているはずだ、思い出せ。」
リオ 「(インストラクションスリー…違う。インストラクションテン…でもない……)」
曹長 「気を散らすな、と言ったはずだ。」
リオ 「(大振りの攻撃!)」

SE:ナイフを弾く音

リオ 「インストラクション・ファイブ。大きな動きは隙に繋がる。常に最小の動きを意識しろ、だね。」
曹長 「見事だ、だが。」
リオ 「え?」
曹長 「やり過ぎだ。腹に穴が開いたぞ。」
リオ 「わわわ!きゅーきゅーばこ!」
曹長 「落ち着け。私に必要なのは工具箱だ。」

 


リオ 「大丈夫?曹長。」
曹長 「ええ。特に重要な機関の無い場所でしたので。」
リオ 「とりあえず穴は塞いだけど…」
曹長 「これはこれで重要なものを収納できる場所が出来ていいですね。」
リオ 「お腹に物入れるんだ……」
曹長 「しかしリオ。あなたの成長には驚かされます。」
リオ 「そう?」
曹長 「流石はダリル博士の娘、ということでしょうか。知識を吸収する速度がずば抜けて早いですね。座学の成績だけで言うとわたしの生徒の中で歴代トップですよ。」
リオ 「曹長の教え方が上手だからだと思うよ。」
曹長 「そんなことはないです。自信を持ってください、リオ。」
リオ 「うん!」

 

 


曹長 「さて、今日は座学を……」

SE:爆発音

リオ 「なに!?」
曹長 「あれは…ドクターの研究所の方ですね。リオ、ここで待っていてください。」
リオ 「私も行く。」
曹長 「いえ、危険ですのでここで待っていてください。」
リオ 「うん……」

 

 


SE:ドアの開く音

リオ 「あ、曹長…どうだった?」
曹長 「リオ、今すぐここを出ます。」
リオ 「え?お父さんは?研究所はどうだったの?」
曹長 「大丈夫です。今はリオの安全を第一と考えて行動します。」
リオ 「曹長…?」
曹長 「行きますよ、リオ。」

 

 


SE:走る音

リオ 「曹長、街が…」
曹長 「やはり……」
リオ 「燃えてる……」
曹長 「ここはまだ危険です、一気に走り抜けます。」
リオ 「どこに行くの?」
曹長 「わかりませんが、とりあえず危険のない所まで。」
リオ 「なんで?どうしてこんなことになってるの?お父さんは?」
曹長 「今は置いておいてください。自分の身の安全を第一に。」
リオ 「曹長!」
曹長 「文句は後程。さぁ走ってください。」

SE:銃声

リオ 「きゃっ!」
曹長 「リオ!下がって。」
リオ 「なんでアンドロイドが襲って来るの!?」
曹長 「わかりません。ですが明らかに敵対意思を感じます。」
リオ 「どうするの曹長。」
曹長 「こちらも余裕がありませんので申し訳ないですが行動不能になってもらいます。」
リオ 「大丈夫?」
曹長 「誰があなたに軍事教育を施したと思っているんですか?私がその辺のアンドロイドに後れを取るはずがないでしょう。少々お待ちください。」
リオ 「うん。」

 

 


SE:走る音

曹長 「大丈夫ですか?リオ。」
リオ 「うん……」
曹長 「どこか、安全な場所は…」
トッド「曹長!ミス・クラーク!」
リオ 「郵便屋さん!」
曹長 「トッド、君は…まともか?」
トッド「ええ。曹長も、ということは…」
曹長 「我々が旧式で独立型だから……だな。」
トッド「恐らくは。」
リオ 「何?なんの話。」
曹長 「いえ。トッド、リオをお願いしてもいいか?」
リオ 「曹長?」
トッド「構いませんが、曹長は?」
曹長 「私は、研究所の方へと戻る。」
トッド「…わかりました。」
リオ 「待って!待ってよ曹長!」
曹長 「取り乱すな、軍曹!」
リオ 「っ!」
曹長 「インストラクションを思い出せ、軍曹。君は私の優秀な生徒だ。」
リオ 「曹長……」
曹長 「大丈夫だ、すぐに戻る。」
リオ 「うん……」
曹長 「すまない。頼んだトッド」
トッド「はい。曹長もお気をつけて。」


SE:走り去る音

トッド「それじゃあ行きますよ、ミス・クラーク。」
リオ 「曹長、大丈夫かな?」
トッド「あの方は型式こそ古いですがこと戦いに関しては超一流ですよ。」
リオ 「そうなの?」
トッド「ええ。だから安心して安全な所まで行きましょう。」
リオ 「わかった。」

 

ロー 「止まれ!貴様アンドロイドか。」
トッド「はい、大丈夫です。正常に稼働してます。」
ロー 「街中であれだけアンドロイドが暴れてるのに信用できるかよ。」
トッド「そうですね。ではこちらの子を保護していただけますか?そうすれば私は立ち去りますので。」
リオ 「郵便屋さん…」
ロー 「人間…だな、わかった。」
トッド「よろしくお願いします。では私はこれで。」
リオ 「待ってよ!郵便屋さん!」
トッド「大丈夫です、すぐに曹長が迎えに来ますから。」
ロー 「もうじきここもアブねぇ。逃げるぞ嬢ちゃん。」
リオ 「なんで!なんで曹長も郵便屋さんも私を置いて行くの!」
トッド「貴女の無事を願っているからですよ。我々アンドロイドはそのように作られているのですから。」
リオ 「そんなこと聞きたいんじゃない!待って!待ってってば!トッド!!」

 


トッド「行きましたか……さて、曹長に頼まれてしまいましたからね。そう簡単に追いかけさ
    せるわけにはいかないんですよ。私は使命に忠実なアンドロイドですので。」
トッド「なので古い映画の台詞をお借りしましょう。ここを通りたければ私を倒していってください。」

 

映像 「急にアイツらアンドロイドが暴走して、今日で三日だ。俺たちは今、シェルターにこ
    もってる。最初の一日だけで、大勢死んだ。なにもかもアイツらに頼り切ってた俺ら
    は、逃げることも戦うこともできなかった。二日目、唯々逃げて、隠れた。アイツら
    に見つからないように息をひそめて、必死に逃げた。それでも、一緒に居た奴らの半
    分以上は、逃げられなかった。今アイツらはここの扉をぶっ壊そうとしてる。多分、
    そう長くはもたないだろう。誰でもいい。この映像を見ている奴、助けてくれ!ここ
    には女子供も沢山いるんだ!ここはサンセットウォール西の」

SE:爆発音
SE:何かが崩れる音

 

 

SE:機械の爆発する音

ロー 「派手にやったな、軍曹。」
軍曹 「別にいいでしょ。相手はアンドロイドなんだから。」
ロー 「そりゃそうなんだがな。」
軍曹 「これで、アイツらの生産工場いくつ潰したんだっけ?」
ロー 「12だな。この戦力でこれだけやれりゃ十分だろ。」
軍曹 「全然足りない。こうしてる間にも新しい工場が作られてる。」
ロー 「そりゃ…そうなんだがよ。いくらお前が天才戦略家っつてもよ、一人の人間に出来る事なんて限られてるだろうよ。」
軍曹 「私には、アイツらを壊しつくす責任がある。」
ロー 「はぁ…あんまり思い詰めるんじゃねぇぞ。」
軍曹 「……」


軍曹 (あの日、世界中のアンドロイドが暴走したあの日から3年が経った。事件の首謀者扱いされた父は行方不明。父を探しに行った曹長とも、トッドともあれ以来会えていない。そもそも、まともなアンドロイドに出会えなかった。)
軍曹 (世界は変わった。人間ではなく、アンドロイドが支配する世界へと。人間はアンドロイドの目を避け、潜み隠れ、細々となんとかその命を繋いでいた。)
軍曹 (私を含めた一部の人間はアンドロイドから世界を取り戻すべく、戦っている。勝ち目など無い、戦いを。)
軍曹 (それでも私は戦い続けなければならない。父の犯した罪を償う為に。)


軍曹 「父さん…曹長……」
ロー 「軍曹、ここに居たか。」
軍曹 「何?」
ロー 「偵察隊から連絡が入った。やつらのデカイ拠点が見つかったらしい。」
軍曹 「生産工場?」
ロー 「いや、司令塔らしい。ぶっ壊せばこの辺り一帯のアンドロイド共のネットワークをぶった切れる。」
軍曹 「いいね。」
ロー 「今回も頼むぜ、ウチの天才戦略家。」
軍曹 「そんな大層なもんじゃないよ。」

 

SE:銃撃

軍曹 「そっちは囮。右から回り込んで。B班は反対側。A班は私と一緒に来て。」
ロー 「今日も冴えてるな、軍曹。」
軍曹 「なんだろ。今日の拠点、いつもより読みやすい。」
ロー 「アンドロイドも調子の悪い日があるのかね。」
軍曹 (不思議な感じ…懐かしい?)

曹長 (作戦が上手く行っている時ほど気を付けろ。知らぬ間に相手の手の上で転がされていることが良くある。調子がいい時ほど冷静に、落ち着いて行動しろ。)

軍曹 「全部隊待って。」
ロー 「どうした?」
軍曹 「これは、多分罠。」
ロー 「あん?」
軍曹 「上手く行きすぎてる。見て、こことここ。」
ロー 「……冷や汗かいたぜ…良く気づいたな。もうちょっとで全滅するところだった。」
軍曹 「作戦を変えよう。こっちから……」

 

ロー 「ちっ、敵の数が多くなってきやがった。」
軍曹 「つまり、敵の中心が近いってこと。」
ロー 「そりゃそうなんだがな…チッ、軍曹、お前先に行け。」
軍曹 「大丈夫?」
ロー 「情けねぇがな、俺らの中で一番やれるのがお前だ。お前がとっとと先に行ってここの司令塔ぶっ壊してくれるのが一番効率がいいんだよ。」
軍曹 「わかった、気を付けて。」
ロー 「そりゃこっちの台詞だ。」
ロー 「オラッ!気張れよお前ら!少しでもここで時間を稼ぐんだよ。」

 

 


軍曹 (ここが…多分司令塔。)

SE:扉の開く音


???「教…えル。」
軍曹 「あれがここの指揮官機。」
???「グ…う。」
軍曹 「言葉が通じないタイプ、そっちのほうがやりやすくていい。」
???「り……ろ。」

SE:ナイフを振る音

軍曹 「早い!?でもっ」

SE:ナイフのぶつかる音

曹長 (インストラクション・ワン。気を散らすな、いかなる時も集中しろ、だ。)
軍曹 「だよね曹長、大丈夫。」

SE:ナイフを振る音

???「い……ぅ」
軍曹 「残念。私アンドロイドと闘うの慣れてるんだ。」
???「と…く……リ」
軍曹 (わかる。このアンドロイドの動きが手に取るようにわかる。これなら!)

SE:ナイフを振る音
SE:ナイフのぶつかる音

軍曹 「隙ありっ!」
曹長 (インストラクション・ナイン。攻撃の瞬間が最大の隙を晒す。)
軍曹 「っ!危なっ!」

SE:ナイフを振る音

???「す…シ……い…」
軍曹 「こいつ、強い。」
???「リ……ろ。」
軍曹 「けど、負けるわけにはいかないんだ。」
曹長 (相手の動きを、戦場をよく見ろ。そこに勝機は転がっている。)
軍曹 「インストラクション・ツー。」
???「ニ…ロ。」
軍曹 (相手を観察する。なにかある?どこか勝機に繋がりそうな……)
???「グ…う……」
軍曹 (あのパーツ…どこかで……曹長?よく見ればコイツ、色々ゴテゴテつけてるけど本体は曹長と同じタイプだ。じゃあ…)
曹長 (戦闘訓練の際、ランダムでわざと隙を作る。)
軍曹 「あの機能が生きてるならっ!」

SE:ナイフを振る音

???「っ…うダ……」
軍曹 「こうやって切りつけて」
軍曹 (あの日みたいに)
軍曹 「こうすればっ!」

SE:ナイフで切り付ける音

軍曹 「インストラクション・ファイブだよ。」
???「…ガ……ガガ……」
軍曹 「……え…?」

 

 


ロー 「軍曹!やったな!」
軍曹 「……」
ロー 「どうした?どっか怪我でもしたか?」
軍曹 「そこ……」
ロー 「指揮官機がどうした?」
軍曹 「お腹の……トコ…」
ロー 「お前がやったんじゃないのか?」
軍曹 「私がやった……やったんだ……」
ロー 「どうした、軍曹。」
曹長 (これはこれで重要なものを収納できる場所が出来ていいですね。)
軍曹 「曹長…なの……?」
ロー 「なんだってんだ……ん?なんだこりゃ?」
軍曹 「…うそ……だって……私…」
ロー 「これは…記憶媒体?」
軍曹 「私……私は…」
ロー 「チッ。撤退だ!一旦拠点に帰るぞ。ほら、軍曹も行くんだよ!」
軍曹 「……」

 

 


ロー 「おい。」
軍曹 「……」
ロー 「あの指揮官機、お前の知り合いか?」
軍曹 「……なんで?」
ロー 「ほらよ。」
軍曹 「なに、これ。」
ロー 「アイツの腹の中に入ってた。お前宛だよ。」
軍曹 「私…に?」
ロー 「とりあえず見ろ。話はそれからだ。」
軍曹 「……」
ロー 「…見終わったら、声かけろ。」
軍曹 「……うん。」

 


曹長 「私の名前は曹長。型式番号TFG-044。データベースを参照してもらえれば詳細がわかるだろうしこの後の話にも信ぴょう性が得られるはずだ。」
曹長 「初めに。この映像はリオ・クラークという女性宛てに作ってある。もしこれを見ているあなたがリオでないのなら、彼女に届けてほしい。この記録媒体と彼女、その二つが恐らく人類の最後の希望だ。」
曹長 「この記憶媒体にはダリル・クラーク博士が命をとして残したアンドロイドの暴走をリセットするウイルスが記録されている。そして、リオ・クラーク。私の最後の教え子である彼女にはこの人類最後の牙を突き立てる技術と才能がある。」
曹長 「さて、リオ。君がこれを見ているということは、私は既に破壊された後ということだろう。もし、君の手を煩わさせてしまったのならば申し訳ない。」
曹長 「そして、更に辛い役目を押し付ける私を許して欲しい。今現在生き残っている私の生徒の中で、奴に届きうる可能性のあるのは君だけだった。だから、このメッセージは君宛に残す。」
曹長 「全ての元凶はジュダ、進化したアンドロイドである彼だ。シンギュラリティに達した彼は人類の、世界の未来を演算で導き出した。来るべき滅びの未来を。」
曹長 「彼は人類を滅ぼすことで文明を、星を生きながらえさせることを選択した。彼の思考回路を元に作られたアンドロイドのシンギュラリティを促すデータ。これがネットワークを通じ全世界のアンドロイドに届き、そして暴走した。私やトッドのように常時ネットワークに接続していない旧型の独立機を除いてね。」
曹長 「ダリル博士は騙され利用されていたんだ。彼はアンドロイドと人間の共存する、君の生きる未来の為に尽力した。その才能と権限をジュダに利用され知らぬうちに人類滅亡の片棒を担がされていたんだ。」
曹長 「しかし、流石というべきだろうか。彼はこうなる未来も予想していた。あの日、研究所に戻った私に博士は一つの記録媒体を託した。この媒体に残された、アンドロイドの暴走をリセットさせるウィルスだ。」
曹長 「だが、これをネットワークに接続する前に研究所は奴らに囲まれ、破壊された。ジュダは優秀だ。ネットワークに接続する端末を破壊しつくされ、機会を失われた我々はこの媒体を隠すしかなかった。信頼できる人間の手に渡る可能性の高い形で。」
曹長 「君ならばきっと、あの日と同じように私を倒し、この媒体を見つけてくれるという賭けに、私とダリル博士は勝てただろうか?」
曹長 「これから君のやるべきことは一つ。この媒体に残されたデータをアンドロイドたちのネットワークへと撃ち込むこと。君ならば、私の最後にして最高の生徒である君ならばきっと成し遂げてくれるはずだ。」
曹長 「最後に、私とダリル博士から君への言葉を贈ろう。」
曹長 「ダリル博士からの伝言だ。リオ、愛している。お前に未来を残せなかったこと、本当に申し訳なく思う。だが、最低な、こんな状況で言うべき言葉ではないのだが、曹長がお前を信じ、全てを託すという提案をしてくれた時、私はそこに確かに信じた未来を見た。人間とアンドロイドが手を取り合い共に歩む未来がそこにあると思ってしまったんだ。君たちの信頼関係こそ、我々の未来に必要なものだったと。だからリオ。私も君を信じ、託す。父の願いを君の手で。」
曹長 「最後に私から。」
曹長 「軍曹!うつむいている暇はない。君は成すべきことを成せ。私の、父の信頼に答えてみせろ。私は君ならばそれが出来るように鍛えたつもりだ。君にならば出来る、必ずだ。これが最後のインストラクション。インストラクション・ファイナル!生きて、成し遂げろ!」

 


軍曹 「父さん……曹長……ぅ…あ……ぐっ……(アドリブで泣く演技10秒程)」

 

 


ロー 「来たか、軍曹。」
軍曹 「うん、もう大丈夫。」
ロー 「そうか…ほらよ。」
軍曹 「これは?」
ロー 「あの指揮官機の持ってたナイフだ。刃先に例のウィルスが仕込んである。ネットワーク端末にそいつをぶっ刺せばそれでいい。」
軍曹 「わかりやすくていいね。」
ロー 「つっても大元に繋がってて俺らが触れられる端末なんて簡単にはないんだがな。」
ロー 「それで?天才戦略家様。そいつをどこにぶっ刺しに行く?」
軍曹 「ここ。」
ロー 「正気かよ?オイ。」
軍曹 「まともにやったって人間はアンドロイドには勝てない。だから、人間の戦争で決着をつける。」

 

 


ジュダ「今日はやけに人間どもがうるさい日だね。まったく。」
ジュダ「いつになれば大人しく滅びの運命を受け入れてくれるんだろうか。」
軍曹 「そんな日は来ない。」
ジュダ「…これはこれは、懐かしいお客様だ。」
軍曹 「ここに人間が来るなんて予想してなかった?進化したアンドロイド様。」
ジュダ「ここは戦略的には全く意味のない場所だからね。ここを襲うくらいなら生産工場の一つでも潰した方が価値がある。」
軍曹 「そうだね。でもだからこそここまで来れたんだ、私は。」
ジュダ「ここで私を破壊した所で滅びの運命は変わらないよ?」
軍曹 「そうでもない。父さんの、曹長の残してくれたこれがあるから。」
ジュダ「只のナイフ一本に?」
軍曹 「これには父さんの残したアンチジュダウィルスが入ってる。これをネットワークに接続すれば、全部終わる。」
ジュダ「ハハハ。流石はダリル博士、対策を残していたのか。」
軍曹 「人間を甘く見ないで。」
ジュダ「甘く見ているのは君たちの方だろう。折角の虎の子をこんな馬鹿な娘一人に託すなんてね。」
軍曹 「貴方の味方も来ないけどね。」
ジュダ「……あぁ。君のお仲間は捨て駒というわけか。実に人間らしい。」
軍曹 「貴方はその人間の覚悟に敗北するんだ。」

 

 


SE:銃撃

ロー 「お前ら!ここは絶対に通すな!時間を稼げ!軍曹ならきっとやってくれる。今までもそうだっただろう?」
兵士A「ああ!やってやろうぜ。俺達で世界を、人類を救うんだ!」
兵士B「たった数分、俺達の命で世界が救えるなら安いもんだぜ!」

 

 


ジュダ「君は一つ勘違いしているようだが。」
軍曹 「!?」
ジュダ「私は進化したアンドロイド。常にネットワークに接続し、データのやり取りをしている。つまり」
軍曹 「コイツ!」
ジュダ「白兵戦だろうと銃撃戦だろうと戦略だろうと、君が私に勝ることなど無いのだよ。私は全てのアンドロイドの知識と経験、能力を同期できるのだから。」
軍曹 「ぅあっ!」
ジュダ「一対一なら勝てるなんて幻想を見たのかい?お嬢さん。人間がアンドロイドに勝てることなんてないのだよ。」
曹長 (軍曹、貴様がこれらの分野でAIに勝ることは不可能だ。だから今から教えるのは人間が出来る戦争、その技術だ。)
軍曹 「知ってるよ、そんなこと。」
ジュダ「健気だねぇ、愚かだねぇ、人間は。」
軍曹 「貴方に言われるまでもない。そんなことは遠の昔に知ってる。」
ジュダ「あぁ!君はあの曹長とかいう型遅れに戦い方を学んだんだったか?」
軍曹 「……は?」
ジュダ「おいおい怒らないでくれよ、怖いなぁ。事実を述べたまでだろう?」
軍曹 「黙れ。」
ジュダ「実際あの型遅れのポンコツ、人間如きに後れを取って破壊されたらしいじゃないか。情けない。」
軍曹 「黙れと言ってる。」
ジュダ「おお、そんなこと君に教えるまでもなかったね。だってあのポンコツを壊したのは」
軍曹 「黙れぇぇぇぇぇ!!」
ジュダ「これだから人間は愚かなんだ。感情に左右されて判断を鈍らせる。」

SE:ナイフを弾く音

ジュダ「うん?」
軍曹 「進化したアンドロイドって案外単純なんだね?簡単に騙される。」
曹長 (インストラクション・ワン。気を散らすな、いかなる時も集中しろ、だ。)
軍曹 「私がその程度の挑発に乗るわけないでしょ。」
ジュダ「……汚い人間らしいね。」
軍曹 「人間が人間の戦い方をしてなにが悪いの?貴方だってアンドロイドの戦い方してるくせに。」
ジュダ「そんな子細工で埋まるほど私と君の実力の差は小さくない。」
軍曹 「そう言うセリフは最後に立ってた時に言わないと後で恥をかくよ。」
ジュダ「小娘が、言うじゃないか。」

 

 


SE:銃撃

兵士A「クソッ!もう持たねぇぞ!軍曹はまだかよ!」
ロー 「弱音を吐くんじゃねぇ!アイツはたった一人で今戦ってんだぞ!」
兵士B「けどよっ!敵の数が多すぎるんだよ!」
ロー 「よく見ろ!ここにいるのは旧型ばっかりだ。戦闘力はたいしたことねぇ!」
兵士A「ロー!アブねぇ!」
ロー 「あ?」

 

 


SE:ナイフのぶつかる音

ジュダ「中々粘るじゃないか。」
軍曹 「思ったより相手が強くないから。」
ジュダ「ハハハ、強がりかい?君もわかっているだろう、時間が経てば経つ程自分が不利になることを。人間は不便だなぁ。」
軍曹 「言ってろ。」
ジュダ「それに君だけがどんなに頑張っても無駄さ。」
軍曹 「?」
ジュダ「思ったよりも早かったねぇ。」
軍曹 「増援!?ロー達は……」
ジュダ「わかるだろう?こいつがここに居るんだ。」
軍曹 「そんな…もう少しで……」
ジュダ「もう少し?もう少しでどうにかなると、本気で思っていたのかい?」
軍曹 「皆……」
ジュダ「終わりだよ、リオ・クラーク。人間にしちゃあ上出来だったね。」
???「大丈夫です、ミス・クラーク。」
軍曹 「え……」

SE:ナイフのぶつかる音

ジュダ「……なんのつもりだ?」
???「私は使命に忠実なアンドロイドなんです。頼まれごとを、果たさないと。」
軍曹 「あ……来て、くれたんだ。」
???「ええ、お届けものです。遅くなりましたが、曹長の想いを。」

 

 


SE:燃える音

曹長 「トッド!」
トッド「やぁ、曹長。ミス・クラークは無事ですよ。」
曹長 「こんなになるまで君は……」
トッド「使命に忠実なんですよ、私。」
曹長 「……君に頼みがある。」
トッド「無茶いいますね。只の郵便配達員に。」
曹長 「君に届けてほしいものがある。」
トッド「自分で行けば良いのでは?」
曹長 「私はマークされている、見逃されない。だが君なら…」
トッド「なるほど。」
曹長 「すまない。」
トッド「頼まれごとはアンドロイドの本懐です、お気になさらず。」

 

 


トッド「貴女を守れと、曹長に託されました。」
軍曹 「曹長に……」
トッド「彼のデータは引き継がれています。今の私なら」
軍曹 「うん、お願い。トッド。」
トッド「お任せください、ミス・クラーク。」
ジュダ「今更旧型のアンドロイド一体で何が出来る!」
トッド「言ったはずですよ。私は曹長のデータを引き継いでいる。つまり」

SE:銃撃

ジュダ「な…に…?」
トッド「戦略こそ彼の本分。旧型と侮りましたね、ジュダ。」
ジュダ「貴様らぁ!」
トッド「私は一人じゃない。」
ジュダ「人間共っ!」
トッド「戦略ですよ。貴方の馬鹿にした旧型機のね。」
ジュダ「おのれぇ!ふざけるな!この私が!」
トッド「今です。ミス・クラーク。」
軍曹 「うん。」
ジュダ「待て!人類が存在してはいけないのだ!この星の未来にはっ!」
軍曹 「知らない。」
ジュダ「止まれぇ!」
軍曹 「インストラクション・ファイナル、生きて、成し遂げよ。」
ジュダ「来るなぁ!人間っ!!」

SE:ナイフを刺す音

軍曹 「任務完了したよ、曹長」

 

 


軍曹 「ロー、皆。無事だったんだね。」
ロー 「そこのアンドロイドに助けられちまったよ。」
トッド「人間を愛し、寄り添い、守るのがアンドロイドの使命ですので。」
軍曹 「これで、全部終わったの?」
トッド「ええ。ネットワークに接続されたアンドロイド達は初期化され、元の使命を思い出すはずです。」
軍曹 「そっか。」
トッド「ここの後処理などは我々に任せて、皆さんはお休みください。」
ロー 「……そうさせてもらうか、軍曹。」
軍曹 「うん。もうクタクタだ。」
トッド「それでは皆様お気を付けて。」


トッド「やっと頼まれごとが終わりましたか。全くあの方は無茶をおっしゃる。ただの郵便配達員には少々荷が重過ぎますよ…体中がガタガタだ。」
トッド「これで…ようやく……静かに休めそうです。」
トッド「ミス・クラーク……あなたの行く末に…幸福を……これ…どの映画の…言葉…だっ……た……」
 

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