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​家宅捜索

登場人物:3人(男:3人 不問:1)

・半仁 聡(はんにん さとし) …男性

・郷津衛 莞爾(ごうつえい かんじ)  …男性

・部下 …不問

SE:ピンポーン


莞爾「どうも~、半仁さんですよね。初めまして。」
半仁「……どちら様ですか?」
莞爾「わたくし警視庁捜査一課の郷津衛と申します。実は貴方と……貴方のお部屋にあるものに興味がありまして。お邪魔させて頂きたいんです。よろしいですよね。」
半仁「いや、よくないですよ。何ですか急に……って言ってる傍から入らないでください!」
莞爾「土足で失礼。上からビニール履くので安心してください。はい突撃~。」

SE:足音複数

半仁「(まずい、ただでさえ時間に追われてるってのに刑事だなんて。このままじゃアレが……!)」
莞爾「おや?半仁さん、これは何ですか?」
半仁「それは……」
莞爾「真っ赤な鮮血。それに包丁。一体何に使っていたんですか~?」
半仁「……あんたらの相手をしている暇はないんです。帰ってください。」
莞爾「いやいや、こんなあからさまな証拠が目の前にあるっていうのに帰るわけないじゃないですか~。知ってますか半仁さん。最近行方不明事件が相次いでいるんですよ。」
半仁「物騒ですね。」
莞爾「ええ。そんな中、近隣住民から目撃証言を頂きましてねぇ。貴方が大きな麻袋を持って帰宅するのを見た、と。麻袋の中身、どうしたんですか?」
半仁「……食べましたよ。」
莞爾「食べた!なんとも猟奇的ですね~。食べることによって証拠を隠滅しようとしたわけですか。」
半仁「証拠隠滅なんてそんな……俺を疑っているんですか?」
莞爾「疑う?あっはっはそんなことしませんよ。この血痕はまだ新しい。つまり証拠は残っています。それさえ見つかれば疑う必要なんてなくなるんですよ。……5分だ。探せ。」

SE:足音複数

半仁「ちょっと、やめてください。物は壊さないで!」
莞爾「嫌なら自白すればいいんですよ。ほら。」
半仁「それはできません。話せることなんて何もないんです。」
莞爾「ほぅ……ご自身の置かれている状況を理解していないようだ。」

SE:椅子を引く音

莞爾「話をしましょう。彼らが捜索をしている間の暇つぶしです。」
半仁「いや、だから、こっちは暇じゃないんです。勘弁してください。」
莞爾「私たちが来るまで何をされていたんですか?やはり調理を?」
半仁「そうですよ。だから続きをしたいんです。」
莞爾「随分挑戦的ですね。警察を前にしてそんなことが言えるとは。」
半仁「ああ、やめ、火を止めないでください!」
莞爾「丸焦げになっては困るでしょう?大切な証拠なんですから。……回収しろ。」
半仁「あ、ああ……。」
莞爾「他にも何か作っていたんですね。冷蔵庫のタッパー、これは……モツですか。酢漬けとはいい趣味してますね。この様子なら冷凍庫にもありそうだ。」
半仁「もうやめてください。これが何になるっていうんですか。」
莞爾「まだ白を切るつもりですか?往生際の悪いお方だ。ですが残念、時間です。」
部下「リビング、浴室、寝室全て異常ありません。」
莞爾「麻袋は?」
部下「発見しました。空のようです。」
莞爾「ご苦労。どうやらギリギリで間に合ったようだ。生焼けのソレと冷蔵庫のブツ。DNA鑑定にかければこの血、そしてガイシャと一致することでしょう。」
半仁「ありえませんよ。そんなこと。」
莞爾「言い訳は署でいくらでも聞いてあげますよ。同行して頂けますね?」
半仁「はぁ……もうどうでもいいです。好きにしてください。全部、遅いので。」
莞爾「全部遅い?どういうことです?」
半仁「時間です。」
莞爾「時間……ちょうど17時をまわったところですが、それが何か?」
半仁「過ぎたんですよ。消費期限。」
莞爾「……はい?」
半仁「魚の消費期限、今日の17時までだったんです。ギリギリ期限内に食べきる計算で調理してて。」
莞爾「さかな。」
半仁「はい。あなた方が押収した生焼けのやつと、冷蔵庫のポン酢漬けのことです。冷凍庫にも調理しきれなかった切り身が入ってます。」
部下「……確かに、切り身があります。まだ凍ってませんね。」
莞爾「それじゃあ、この血は。」
半仁「魚を捌いたときに……」
莞爾「なら、この麻袋はなんですか。なぜ空の麻袋が」
半仁「米です。残りが少なかったので全部研ぎました……あ、炊けたみたいですね。」
莞爾「なぜそれを言わないんですか。」
半仁「言いましたけど……あの、大丈夫ですか。」
莞爾「……すみません。ちょっと理解が追い付いていなくて。」
半仁「そうですか……ご飯食べます?なんかもう、食欲失せちゃったんで、よければ。」
莞爾「……いえ、遠慮しておきます。大変失礼致しました。」

 

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