名探偵左近寺綱吉の事件簿
登場人物:6人(男:0人 女:0人 不問:6人)
・左近寺綱吉 :不問
・田辺 :不問
・牧島 :不問
・遠山 :不問
・堂島 :不問
・小川 :不問
堂島 「左近寺、言われたとおりに皆をホールに集めたぞ。」
左近寺「ありがとうございます、堂島さん。」
左近寺「さて、皆様にお集まりいただいたのは他でもありません。小川様を殺した犯人、その
正体がわかったのです。」
堂島 「なにっ!それは本当か?」
左近寺「ええ、この名探偵左近寺綱吉の手にかかればどのような事件も即時解決でございま
す。」
堂島 「それで、犯人はどこに?」
左近寺「慌てないでください。お決まりってやつがあるんですよ。」
堂島 「お決まり?」
左近寺「ええ、推理物の小説やドラマなどで聞いたことありませんか?犯人はこの中に居る、
というやつですよ。」
堂島 「な、なんだと!?」
左近寺「いつも素晴らしいリアクションをありがとうございます。」
田辺 (ま、まずい。まさか殺害現場に選んだホテルにあの名探偵左近寺綱吉が泊っているな
んて……強運探偵左近寺綱吉、その事件解決率は100%だと聞く。なんでこんな辺境
のホテルにそんな奴が…)
左近寺「さて、それでは私の華麗なる推理を皆様に披露いたしましょうか。」
田辺 (いや、まて。俺の密室殺人の計画は完ぺきだった。証拠も残っていないはず。それな
らば俺が犯人なんてバレるはずがない。コイツ適当言ってるんじゃないのか?)
左近寺「まず初めに犯人のお名前から。小川様を殺した犯人、それは……」
田辺 (間違え!間違え!)
左近寺「牧島様、あなたですね?」
田辺 (本当に間違えた!?あの名探偵左近寺綱吉が!?)
牧島 「私がですか?そんな馬鹿な。」
田辺 (そりゃそんなリアクションにもなるわな。だって真犯人は俺なんだし。)
左近寺「私もそう思いました。あなたのように優しい人が人を殺すなんて、間違いであってほ
しかったです。しかし、私の超優秀な頭脳はあなたが犯人であることを導き出してし
まったのです。」
田辺 「ぷっ。」
左近寺「なにか?」
田辺 「いえ、すみません。少しせき込みました。」
田辺 (バーカ!なにが超優秀な頭脳だ!犯人間違えてるくせに!)
左近寺「どこまで話しましたかね…ああそう、牧島様がなぜ犯人だと思ったかですね。私がな
ぜそのことに気づいたかというとですね……」
田辺 (クックック…したり顔でお得意の推理を披露してるところ悪いが大間違いだぜ。)
左近寺「……以上の理由からあなたが小川様を殺した犯人、ということなのですよ。牧島様。」
牧島 「……そこまでばれていたのか…」
田辺 (……えっ?)
牧島 「そう、私は小川様…小川に非常に強い恨みを抱いていました。あいつはそのことをと
うの昔に忘れていたようですがね。だから平気で私が経営するホテルにも泊まりに来
れたのでしょう。」
田辺 (あれ?犯人が自白するときみたいなBGM流れ出したけど、あれ?真犯人って俺だよ
な?推理間違ってるよな?)
左近寺「非常に残念です。あなたとならいいお友達になれると思っていたのですが。」
牧島 「お客様に不快な思いをさせてしまいました。支配人失格ですな。」
堂島 「では、署まで同行してもらおうか?」
田辺 (え?マジでどうなってんの?どうすんのこれ?)
左近寺「待ってください、堂島さん。」
堂島 「どうした左近寺?」
左近寺「事件はまだ解決しておりません。」
田辺 (そうだよな?真犯人はここにいるもんな…ってまずい!やっぱりバレてたのか。)
堂島 「どういうことだ?犯人は牧島じゃないのか?本人も認めているんだし。」
左近寺「実は牧島様の他にも小川様を殺そうと画策していた人物がいるのですよ。」
田辺 (これ絶対俺のことじゃん!マズイ!)
左近寺「そうですよね?遠山様。」
田辺 (ってまた俺じゃないんかい!)
遠山 「な、なんのことです?私はたまたま泊りに来ただけの一般人ですよ?」
左近寺「いえ、私には全てわかっています。」
遠山 「な、なにをですか?」
田辺 (な、なにをだ?)
左近寺「あなたが連続快楽殺人鬼、ジュディアンヌの剣だということはね。」
田辺 (なにそれ急に新要素出さないで!)
遠山 「フッ流石は名探偵左近寺綱吉、私の正体を見破るとはな。」
左近寺「偶然あなたが電話しているところを聴いてしまったのですよ。」
田辺 (クッソしょうもねぇ理由でバレてるじゃねーかジュディアンヌの剣!)
遠山 「これは少々うかつでしたね。」
左近寺「小川様に残っていた傷の内、いくつかはあなたが残したもの、つまり牧島様の前にあ
なたが小川様を襲い、なんとか生き残っていた小川様に牧島様が追い打ちをかけた、
これが真実ですね。」
田辺 (しかも殺害ミスってんのかよジュディアンヌの剣!って俺もか!)
遠山 「フッ。こんなところで私の殺人(芸術)が終わってしまうとはね。流石は名探偵左近
寺綱吉。」
堂島 「じゃあお前も署まで同行してもらうぞ、ジュディアンヌの剣。」
田辺 (ふぅ。アホのお陰で俺のことはバレなかったみたいだな。)
左近寺「いえ、まだ事件は終わりではありません。」
堂島 「どういうことだ?犯人は牧島とジュディアンヌの剣じゃないのか?」
田辺 「え?まさか…」
左近寺「もう一人犯人がいるということですよ、そうですよね?田辺様。」
田辺 「ついに俺の番来たぁ!」
左近寺「え?」
堂島 「え?」
田辺 「いや、なんでもありません…コホン、俺がやったていう証拠はあるんですか?」
左近寺「もちろんありますよ。」
田辺 (俺の密室殺人は完ぺきだし証拠も残してない…ハズ。これはハッタリだ。)
田辺 「へぇ、どんな証拠なんですか?」
左近寺「それは、こちらです。」
小川 「ど、どうも。」
田辺 「は?」
左近寺「実は小川様、ぎりぎりなんとか死んでおらず、すべてのことをお話ししていただきま
した。」
田辺 「つまり?」
左近寺「つまり、あなた方の犯罪はすべて被害者の口から聞かされたことであり、推理する必
要もなかったということですよ。」
田辺 「ずるじゃんそれぇ!!!!!!!!」