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​ラヴィエールの生存戦略

登場人物:6人(男:6人 女:0 不問:0)

・黒瀬:男性

・桜井:男性

・波野:男性

・雪本:男性

・白石:男性

・赤坂:男性

黒瀬「栗原が風邪を引いた。」
桜井「え、大丈夫なんですか?」
黒瀬「今朝連絡があってな。今流行りの『なんくるないさ』?らしい。」
桜井「インフルエンザですね!じゃあ1週間おやすみですか。」
黒瀬「ああ。このままでは売上に影響が出てしまう。そこで今日は助っ人を呼んだ。」
雪本「栗原なんて居ても居なくても一緒でしょう。俺達だけでも十分ですよ。」
黒瀬「まあそう言うな雪本。念には念を、石橋は叩いて渡るべきだろう。」
波野「人件費で石橋壊れるんじゃないの~?。」
黒瀬「波野、いい質問だ。そこは問題ない。俺の古い友人でな、タダで酒が飲めるなら時給だけでいいと言っていた。そろそろつく頃合いだと思うが……」
赤坂「こんちゃーっす!黒瀬さん!呼んでもらえてマジ光栄っす!」
白石「よぉ!元気してたかぁ?俺様が来たからにはもう安心していいぜ!」
桜井「(うわ、なんかチャラいの来た。)」
黒瀬「紹介しよう。こちらは赤坂、料理人だ。元黒服でキャストをしていた時期もあった。若手だが経験豊富な実力派だ、安心していい。」
赤坂「ちゃーっす!赤坂でっす!黒瀬さんの店、一回来てみたいなーって思ってたんでマジわくわくしてるっす!代打なんすけど、仕事はしっかりやらせてもらいますんで!楽しくやりましょー!」
黒瀬「こちらは白石。元キャストで今はバーテンダーをしている。俺と同い年だが童顔でな、話術も巧みで男女ともに人気が高い実力派だ。」
白石「おめーが老け顔なんだよ!今日は売上一位かっさらっていくからよろしくな!」
桜井「桜井です。よろしくお願いします!……ほら、お二人も挨拶してくださいよ。」
波野「俺は波野。『しー』って呼ばれてる。よろしくね~。」
雪本「よろしくするつもりはありません。雪本です。現場では『冬樹』とお呼びください。」
白石「おーおー。威勢がいいなぁクソメガネ!年長者は敬うもんだぞ?」
雪本「歳食ってるってだけでしょう。敬ってほしいならそれ相応の態度と行動を取ってください。」
桜井「ちょ、雪本さん。正論パンチはこういう場合火に油で…」
白石「言ってくれるじゃねぇか!おめーの客全員持って行ってやるからな覚悟しろよクソメガネ!」
雪本「またクソメガネ、ですか。子供じゃないんですから、本でも読んで語彙を増やしたらどうです?」
白石「ああ!?んだとてめぇ!」
赤坂「はーいストップストップ!開店前からギスってどうするんすか!こんなんじゃお客さん楽しめないっすよ?」
黒瀬「赤坂の言う通りだ。ライバルがいるのはいいことだが、それで店の雰囲気が悪くなってしまっては元も子もない。各々が接客のプロとして売上で競い合う、それでいいだろう?」
雪本「当然です。元よりそのつもりですよ。」
白石「はっ。いけ好かねー野郎だな。後で泣いても知らねーぞ。」
赤坂「それぐらいにしてくださいっす。これで白石さんが泣いたらかっこつかないっすよ?」
白石「んなわけねーだろ俺様だぞ?元ナンバーワンなめんな。」
桜井「あの、どこ行くんですか。」
白石「便所。着いてくんなよ。」
赤坂「すんません。あの人プライド高くて。悪い人じゃないんすけどね!」
桜井「いえ、そんな。助かりました。」
波野「今日はにぎやかになりそうだね~。」
黒瀬「そうだな。栗原の分まで盛り上げていこう。」
桜井「はい!みなさん、力を合わせて頑張りましょう!」
一同「お~!」
雪本「……。」

 


雪本「オーダー。ピンドンとシンデレラお願いします。」
白石「カフェパ3本追加!あとテディ持って来い!」
波野「おふねといるか、おねがい~!」
桜井「い、今行きますー!」
赤坂「3卓おかえりでっす。俺行きますね!桜井さんは6卓お願いするっす!」
桜井「ありがとうございます!」
黒瀬「お待たせしました。シンデレラです。」
桜井「(あれ、なんか今日忙しくないか!?いつもよりオーダー入ってるし…ってか飾り多いな!記念日じゃないのに…!)」
赤坂「あざっしたー!超楽しかったっす!あ、途中まで一緒に行くっすよ。お手をどうぞ、お姫様。なんちゃって!」
波野「おふね綺麗だよね~。俺は青いのも好き~。うん、色違いもあるよ、見てみる~?」
雪本「少し飲ませすぎちゃいましたかね。水を持ってきましょう…フィリコでいいんですか?ふふ、ありがとうございます。」
白石「な?テディ可愛いだろ!…あ?俺様の方が可愛くてかっこいい?っは!乗せるのうまいじゃねーか!いいぜ一曲歌ってやるから好きなの選べよ!てめーだけに捧げてやる、だから俺様だけ見てろよ?いいな!」
黒瀬「(ふむ。大盛況だな。売上も申し分ない。この調子なら今月の目標も達成できそうだな……。)」
黒瀬「っげほ!っけほ!……む?」

 


白石「あ?黒瀬が風邪ひいた?」
桜井「どうやらインフルエンザらしくて……栗原さんと同時期に感染してたみたいです。」
波野「同じ職場で働いてたらこういうこともあるよね~。」
赤坂「黒瀬さんが戻るまでは俺が裏方に回ってアシストするんで、みんなは今まで通りにお願いするっす!」
雪本「キッチンは赤坂さんに任せるとして、ホールは回るんですか?」
赤坂「フードが集中しない限りは大丈夫じゃないすかね。」
波野「でも桜井一人でホール回したことないよね~。」
桜井「…や、やりますよ!それが俺の仕事ですから!大丈夫、皆さんは接客に集中してください!」
白石「っは。頼もしいじゃねーか。じゃんじゃんオーダー入れていいってことだよな?」
桜井「も、もちろん!でも、できるだけ高い酒でお願いします。」
白石「おー。やってやんよ。」
雪本「……。」
波野「雪本?どうしたの~?」
雪本「…いえ、なんでも。」

 


雪本「オーダー。ドンペリ白とカプレーゼお願いします。」
白石「モエシャン2本!日替わりパフェ3つ!」
波野「かふぇぱらいち追加~!」
桜井「はい!かしこまりました!」
赤坂「フリーのお客様だいぶ待ってるっす!あと5分以内には誰か回してください!」
桜井「了解です!」
赤坂「お待たせしました!カプレーゼとドンペリ白っす!替えのおしぼりもどうぞ!」
桜井「あ、いらっしゃいませ!少々お待ちください!」
雪本「(明らかに手が回っていませんね。ボトルのお客様が多いせいかオーダーがフードに集中しています。俺と波野はリピーターに捕まっていますし、赤坂さんは厨房とこちらを行ったり来たり。桜井さんは全体を見渡せていないでしょう。自由に動けるのは一人だけ……お手並み拝見しましょうか。)」
赤坂「モエシャン2本とパフェ3つっす。ポッキーいるっすか?」
白石「おーつけてくれ。俺様からのサービスだ。それと……嬢ちゃん、待たせたな。こっちで一緒に遊ぼうぜ!そっちの卓も来いよ!今からこのポッキーを掛けたゲームの始まりだ!使い方はもちろんわかるよなぁ?推しと急接近のチェキもつけてやる!俺様と遊びたい奴は手ぇ挙げやがれ!」

SE:歓声

雪本「…なるほど。楽しそうですね。俺も参加してきましょう。一緒に参加しますか?それとも、応援してくれますか?」
波野「みんな行くの~?じゃあ俺も行こうかなぁ。ポッキー食べたいし。」
赤坂「クリスタル入ったっす!テディも並べるっすよ!」
白石「どこのどいつだ?最高だなぁおい!こっちあがって来い!みんなでコールしてやんよ!」
桜井「(す、すごい。あんな一瞬でお客様を焚きつけて、流れを作ってる!)」
赤坂「今のうちにテーブル周り片付けるっすよ!」
桜井「はい!…いや、それは俺がやります!赤坂さんはフードの続きと延長交渉お願いします!」
赤坂「了解っす!」

 


桜井「…つ、疲れた。」
赤坂「いやー!お疲れさまっした!みんな頑張ったっすね!」
波野「うまいこと回ってよかったね~。」
白石「ま、俺様にかかれば当然だな。」
雪本「何言ってるんですか。勝手に人を巻き込んでおいて。」
白石「アレが一番手っ取り早いんだよ!いいだろ?てめーも場内指名取れたんだから。チェキも売れたしよ。」
波野「ポッキーゲーム楽しかったね雪本~。」
雪本「ノンストップで食べに来るのやめてくれません?おかげで3テイクもやる羽目になんたんですが。」
白石「最高の見世物だったなぁ!っはははは!」
赤坂「もー、あんまり無茶ぶりしちゃダメっすよ?若い子いじめよくないっす。」
白石「いいんだよこんなもんで。な?桜井。」
桜井「え、ああ……その、すみませんでした。やりますって言ったのに、結局みなさんに助けてもらってばっかりで。」
白石「あ?助けた覚えなんてねーけど。」
桜井「え?でも…」
白石「俺様は全力で客と向き合ってただけだ。俺様のために、最高で最上の夢みてーな空間を作り上げて遊んでた。その結果客が集まって満足したんだ。それだけで十分だろ。」
桜井「…ありがとうございます。」
白石「おーおー感謝しろ!特に黒瀬には俺様の活躍についてよ~~~~~~く言っておけよ!上手い飯で手を打ってやる、ってな。」
赤坂「え、白石さんだけずるい!みんなも食べたいっすよね!」
波野「たべた~い!俺中華がいいなぁ。」
雪本「食べられればなんでも。」
白石「んだよつまんねー奴だなぁ!寿司とかステーキとか何かあんだろ!」
雪本「あなたが決めればいいんじゃないですか。一応、今日の功労者でしょう。」
白石「あ?なんだよ急にキッショ。ってか一応ってなんだよ。どう考えても俺様が一番だっただろーが!」
雪本「前言撤回、中華にします。店を探しましょう。白石さんの名前で予約して、後で黒瀬さんと栗原に請求します。」
波野「了解~。カード使えるところがいいよね~。」
白石「おい何勝手に決めてんだ!俺様は立て替える気なんてねーぞ!」
赤坂「俺いいところ知ってるっすよ!確かここの…」
白石「話聞きやがれ!」
波野「桜井もおいで~。海老と蟹のコースどっちがいい~?」
桜井「はい!そうですね、せっかくならエビチリが食べたいので俺は……っくし!」
赤坂「大丈夫っすか?ティッシュ要ります?」
桜井「大丈夫です。自分のがあ、ゲホッ!るので…ケホッ!ゴホッ!」
雪本「しっかりしてくださいよ。これ以上黒服が減ったら困……ゲホッ!」
一同「…え?」

 


黒瀬「えー。大変迷惑をかけたな。この1週間ご苦労だった、と言いたいところなんだが……。」
白石「おいおいまじかよ。」
黒瀬「雪本が撃沈した。あと、桜井は熱が下がらないらしい。悪いが、あと数日手伝ってくれ…。」
赤坂「うっす……み、みんなも風邪には気を付けるっすよ~!」

 

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